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マイホーム山谷(末並 俊司)2022年06月07日 21時36分13秒

マイホーム山谷
面白くて一晩で読みました。
場所は山谷。そこにホスピスのような「きぼうのいえ」という施設があります。
その、きぼうのいえを作った山本さん夫婦を軸にした人間模様が描かれます。
そのドラマチックな展開は、まるで良質の小説を読んでいるかのよう。しかしこれはもちろん実話で、本作は第28回小学館ノンフィクション大賞受賞作です。
事実は小説より奇なりとはよくいったものですね。

小説でもNFでも、文学とはいかに人間を描くかが肝心とぼくは思っています。そういう点で、本作は申し分なく、読み応え十分でした。
また人間を描くだけにとどまらず、山谷の現在も的確に描写していました。
かつては日雇い労働者が住むドヤ街だった場所が、現在では労働者が高齢化し、労働の街から福祉の対象の街に変化して行っています。
そういう街の中で、きぼうのいえを作った山本さんがどう生きているか、縦糸と横糸がうまく織り合わさって優れた作品に仕上がっています。

大賞受賞、おめでとうございます。
みなさんにおススメします。