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日本共産党-「革命」を夢見た100年(中北 浩爾)2022年06月18日 21時16分42秒

日本共産党-「革命」を夢見た100年
これは読み応え十分でしたね。
新書で400ページを超える作品はなかなかありません。
ただ長いだけでなく、密度もぎっしりという感じでした。100年の歴史を丁寧に辿り、共産党が目指してきたものを時代の変遷と共に描いています。

若い人なんか伊藤律という政治家は知らないと思います。中国で投獄されて、その後、29年ぶりに日本に帰ってきた人です。
空港からの中継がテレビで流され、車椅子に乗った伊藤律さんの姿が映し出されました。あれは、1980年。ぼくがまだ高校生の頃です。

共産党の歴史は初期の頃から内部対立の繰り返しだったことがよく分かります。
民主集中制を守り通したのは、そうした党内の分派行動を抑えたかったのでしょう。
しかしながら、共産党が広範な支持を得られなかったのも民衆集中性にあると思います。
民主と集中は併立する概念ではないですからね。
自民党が強いのは、超右翼から比較的リベラルな人まで広く含んでいるからでしょう。
そういうところは、共産党とか立憲民主党は悪い意味で真面目ですよね。

しかしこれだけの本って一体どうやったら書けるんでしょうか。
ぼくには一生かかっても到底無理です。
やはり学問を修めるということは素晴らしいですね。
こうしてアウトプットできるのですから。
2022年の新書大賞を取るかもしれませんね。
おススメの大作です。ぜひ、どうぞ。

トカイナカに生きる(神山 典士)2022年06月18日 23時07分52秒

トカイナカに生きる
トカイナカとは、都会と田舎の中間。
都会(この本では東京)から電車などで1時間から1時間半の地域を指します。
この微妙な距離は何を意味するのでしょうか?
これは定年になって仕事を終えた人が田舎に移住することとはまったく違っています。

コロナ禍は人の働き方を変えました。これは一時的な現象ではなく、このまま定着するでしょう。
大都会に住んでいても家賃や物価が高いだけ。大都会に行くには満員電車に揺られる必要があります。
しかしリモートワークという働き方改革が、人を大都会とその近辺に住まわせる必要性を無くしました。

トカイナカとは、高齢者のものではなく、若者のものであり、ビジネスの場でもあります。会社に縛られないフリーという生き方の選択でもあります。
時代は上り電車から下り電車に変化している訳です。
本書はそういう日本の新しい姿を現場からの実況中継という形で活写しています。

ぼくなんか還暦になった古い人間ですから、トカイナカ生活をやるガッツはありません。医療にもリモート診療というものが入ってきましたが、医療の基本は患者に触れることなので、この新しい診療は広まらないと思います。
ぼくの人生は自分のクリニックに縛られますから、イナカに移ることはないでしょう。
あれ、まてよ? そもそもぼくの住んでいる町は十分トカイナカでは(笑)。

筆者の神山さんはぼくと同年代ですが、ご自身でトカイナカ生活を実践しておられ、時代を見る目が確かだと思います。
新しい日本の潮流を本書で確認してください。
おススメします。
しかし神山さん、文章うまいなあ。ぼくもがんばろう。