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ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援(慎 泰俊)2022年06月29日 21時50分45秒

ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援
2017年の本ですが、読み返してみました。
児童虐待の件数が年々増加していることは、みなさんご存知でしょう。
被虐待児は、児童相談所(児相)に通告され、必要に応じて「一時保護所」で保護されます。
本書は、一時保護所にフォーカスを当て、その問題点を指摘しながらも、単に児相悪玉論に傾かず、子どもの権利・子どもへの支援について書いています。

ぼくも長く医者をやっていますので、虐待を疑って児相に通告した経験が何度かあります。
これは大変難しく、一発で親との関係が悪くなります。
小児科医とは、子どもを治すと同時に、親を癒す面もあります。
しかし最も重要なことは、子どもの権利を守るという視座です。
アドボガシーですね。

親は子どもにとって最善の利益の代弁者ですが、ときとして最悪の敵になることがあります。
青い芝の会の横塚晃一さんは『母よ!殺すな』と言いました。
それはよく分かるのですが、母を追い詰めているものの正体も明らかにして、それを取り除くことも重要だと考えます。

そして、うちのクリニックに児相から電話がかかってくることも稀ではありません。
ぼくが関わった患者が、ずっと後になって虐待を疑われるケースです。
小児医療をやっていると、虐待問題とは関わらないことはできません。

先日、某病院のカンファレンスにZoomで参加しました。テーマは女児の陰部外傷でした。
こうした外傷では虐待のケースが多々あり、疑いがあれば患者を紹介してほしいとのことでした。
それは分かるのですが、では、親になんと言って紹介するのでしょうか?
怪我を治療を、外科医のぼくが、病院の小児科に紹介するなんて、理由が付けられません。
すると、開業医というのは、自分一人で悩み、場合によっては児相に通告しなければいけないのか?
本当に難しい問題です。

虐待に関して、もう少し勉強してみようと思います。
「医療の中の虐待」という視点から考えてみたいです。