アクセスカウンター
アクセスカウンター

モラルの起源――実験社会科学からの問い (岩波新書) 亀田 達也2017年04月04日 11時55分55秒

モラルの起源
実験社会学、あるいは人文科学というのは、現在こういうことをやっているのかと分かったことで収穫でした。
しかしながら、心の底から興味を引かれたかと言えば、そういう訳でもなく、課題を自分に照射して考えるところまではいきませんでした。
岩波書店らしい品格のある本だと思いましたが、ぼくのように半分理系、半分文系の人間にはちょっと難しい作品でした。
現在、国が文系の学部を改変あるいは削減しようとしていますが、それに対する答えが本書のような内容だとすると、文系の学問はやや苦しいのでは?というのが僕の感想です。
少し厳しすぎるでしょうか?

日本会議の研究 (扶桑社新書) 菅野 完2017年04月04日 22時56分54秒

日本会議の研究 (扶桑社新書) 菅野 完
森友学園問題でメディアに登場した菅野さんの作品です。現在、大ベストセラー中という感じでしょう。

我が国の総理大臣が大変右に偏向した人というのは、誰もが知っていることでしょう。
そして彼を裏から支えているのが右翼論壇とか日本会議であるということも周知の事実でしょう。
しかしながら日本会議とはどういうものなのか、詳しく知る人はほとんどいません。
考えてみればこれは不思議な話で、国の最高権力者の最大支持団体について国民が無知というのは、何か変です。

菅野さんはその日本会議の正体を薄皮一枚ずつ剥いていくように、丁寧に筆の力で露わにしていきます。
歴史を辿り、人間を描写していきます。
そこに見えてくるものは、ある意味とても真面目で、いや愚直とも言える粘り強い運動を継続する保守人脈の姿です。

こうした人たちは、日本の憲法を改正することが正しいと考えているのか、あるいは、改憲という目的があるから運動を継続できるのか、そこの部分は明確には分かりませんでした。
しかしながら、この執念深い持続的な運動の姿には、何か恐ろしいものを感じさせます。
左翼運動が内部路線の対立や内ゲバで四分五裂したのとは対照的に、彼らの団結力には迫力があります。
まるで、堅い板に力をこめてゆっくりと穴を開けていくようです。

こうした運動体に支えられた現政権はかなり根深い怖さを持っているなというのが正直な感想です。簡単に倒れないかもしれませんね。