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怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ(森合正範)2024年01月21日 14時42分40秒

怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ(森合正範)
ボクサー井上尚弥に敗れた選手にインタビューすることで、井上の強さを描くノンフィクションです。
インタビューした選手の数がちょっと少ないことが残念でしたが、大変クオリティーの高い内容になっていました。
ただ単に、井上の怪物ぶりを表現するだけでなく、敗れたボクサーの人生がしっかり描けていました。
一級品の作品です。

ぼくは井上尚弥の試合を生放送で観たことは一度もありません。興味がないのではなく、テレビを観る習慣がないからです。
でもさすがにその強さは知っていました。
でもこの本を読んで、井上はアマチュア時代からモンスターであってこと、そして現在は、スピード・パワー・ディフェンス・頭脳と完璧な選手と知りました。

だから敗れたボクサーたちは、井上との試合を語ろうとするんですよね。
敗けてプライドを失うのではなく、井上と闘ったことでプライドを得たのだと思います。

この本の出だしには、筆者のボクシングに対する思い入れが書かれていますが、そこもまたよかったです。
それからのこの方は文章が非常にいいですね。新聞記者だから当たり前か。

傑作に仕上がっています。ぜひ、おススメします。

ピンヒールで車椅子を押す(畠山織恵)2024年01月21日 23時07分44秒

ピンヒールで車椅子を押す(畠山織恵)
重い脳性麻痺の子と共に生きたおよそ20年の記録です。
タイトルから、母親が「ケアの人生から社会進出へ」移行するストーリーかと思い込みましたが、全然そんな内容ではありませんでした。
脳性麻痺のお子さんがいかに成長していくか、どう自立していくかの貴重な記録になっていました。
とても良質なノンフィクションでした。

終盤は、お子さんの話は出てこず、母親の人生が語られます。
ちょっと自己啓発本みたいな雰囲気になりますが、読んでいて大変読み応えがあり、母親の成長の軌跡もとてもよく分かりました。

ぼくはいつも講演で、「自分が生きる世界を変えようと思ったら、自分が変わらなくてはいけない」と言っています。
筆者も「自分が行動することで、変わる」と言っていましたので、考え方として共通な部分が多いなと感じました。

重い障害の子をどう育てるか。ぜひ、読んでみてください。