アクセスカウンター
アクセスカウンター

いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち(11)2018年02月22日 20時28分44秒

ヨミドクター連載11回目です。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180202-OYTET50005/

よかったら読んでみてください。
トリソミーの子どもと関わることになった原点です。

告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実(旗手 啓介)2018年02月24日 16時27分10秒

告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実
これはちょっとすごい本です。
日本で初めてのPKO隊員の派遣は世論を二分する大激論でした。その結果、自衛隊はカンボジアに赴きます。しかしその時、文民警察官も派遣されたことはあまり報道されませんでした。カンボジアで命を落としたのは、警察官の高田さんです。彼はなぜ死ななければならなかったのでしょうか?
1993年といえば、今から25年前。こうした事件があったことは、僕の頭からも薄れつつあります。しかしこれは単なる個人の死ではありません。それにとどまらない大事なことがここにあります。
文民警察官とは何でしょうか? それは現地の警察官を「助言・指導・監視」することです。彼らは丸腰でカンボジアに向かいます。ところが現地は、和平が成立しているどころか、まさに内戦状態、戦争のまっただ中だったのです。
ガス・水道・電気の無い村に陣地を作り、そこで生活を始めます。カンボジアには憲法も無ければ法律も無いので、日本の文民警察官は、ある意味何もできないのです。
しかし来る総選挙に向けて、村民に選挙の仕方を指導していきます。
村のあちこちには地雷が埋められ、弾薬が積み上げられ、村人はみんなカラシニコフを持っている状況にあります。

現地にいる人間から見れば、もう完全に停戦は崩れている。しかし国連UNTACや日本政府はそれを認めようとしない。
なぜでしょうか?
撤退できないからです。日本は湾岸戦争で国際貢献できなかったという負い目を持っていたために、カンボジアでは存在感を示したかった。
つまり政治的パフォーマンスを演じ続ける必要があったのです。

村から村への移動中の車列にポルポト派の銃撃が襲いかかります。無数の弾丸が飛び交い、現場は地獄絵図になります。こうして高田さんは殉職します。

南スーダンの日報が隠蔽されたり、安保法制が改変されて地球の裏側まで「かけつけ警護」に行けるようになって、これからどれほどの「個」の死が待っているのでしょうか?
政治家はなんのためにそういう法律を作るのでしょうか?
個人の命を蔑ろにして国家は国民から尊敬されるのでしょうか?

NHKならではの圧倒的取材力によって本書は成り立っています。ノンフィクション作品として超一級のレベルに仕上がっています。
個人の命を奪う政治の愚劣さ、組織の官僚主義や、撤退することのできないリーダーの面子など、泥沼に足を踏み入れたら最後、もう引き返すことはできない戦争の残酷さが描かれています。
強くオススメします。

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道(春日 太一)2018年02月28日 10時23分59秒

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道
春日さんの本には外れがありません。
この本も例外ではなく、一気に読んでしまいました。
なぜ面白いのでしょうか?
それは春日さんの映画への愛ですよね。映画が好きだから女優さんと語ることが楽しくてしかたがない。
そんな楽しさが伝わってきました。

ぼくは特段、岩下志麻さんが好きという訳ではありませんが、日本の女優さんの中で最も美しい人の一人だとかねがね思っていました。
しかし本書を読んでみると彼女の魅力は美貌にあるのではなく、役に憑依するくらいのめり込む、そのプロ意識にあるのだと分かります。

いろいろな監督さんや役者さんに対する感想も多々述べられていて、大変興味深く読むことができます。
ただ1点、分からなかったのは、女学生だった素人の岩下さんが、何をきっかけに(あるいはきっかけなしに)プロの女優に変貌したのかです。ここの部分はもっと掘り下げて欲しいと思いました。
もともと才能があったのかもしれませんね。

人類の契約 (貧困なる精神27集) 本多 勝一2018年02月28日 22時15分27秒

人類の契約 (貧困なる精神27集) 本多 勝一
本多さんが提唱する人類の契約とは、人類が人類を殺してはいけないという約束です。
人の歴史は、この契約違反の歴史だったとも言えます。
強い者が弱い者を見下して、差別することも契約違反の前段階です。
多様性を認める社会、寛容な社会、弱い者を包む柔らかい社会が実現する日。それはいつでしょうか?
ぼくが生きている間に実現しないでしょう。
いえ、未来永劫そういう日は来ないかも知れません。
だから志のあるジャーナリストは書き続けるのでしょう。