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「絶歌」元少年A2015年06月24日 11時13分54秒

メディアから袋だたき状態である。
私刑(リンチ)を見ているようで怖い。
本として出版した以上は、文学作品として論じるべきだと思う。
なお、元少年Aは刑事でも民事でも裁かれている。

感想をいくつか。

1. あまりにも文章がうまいので、読み始めた時にゴーストライターが書いたと思った。
講談社のベテランの方に訊いてみたところ、あれは絶対本人が書いたと。
完読してみると、本人が書いたと今では僕も思っている。
比喩の使い方などは相当高度で、知能テストをすればかなり IQ が高いだろう。

2. 過剰な自意識・表現・修飾・比喩でできている。
三島由紀夫の「金閣寺」に影響を受けたらしいが、大変肯ける。

3. 遺族が腹を立てるのは当然である。
しかし出版すべきだったかという問題と、本の意味・意義・価値はちょっと別だと思う。

4. 「性犯罪」には終わりが無い。
欲が増幅していくからである。
こうした悲劇を招き、贖罪する方法があるかと言えば、無いと思う。元少年Aは一生苦しむしかない。

5. 「反省しているか」とか「更正しているか」という視点はあまり意味が無い。彼がいくら反省し、後悔しても、それを信じない人間の心には響かない。
日本人は、忠・孝・恩を大事にする民族である。従って、「報」も好きである。だから、死刑制度にみんなが賛成する。
彼が死刑になった方がいいと考える日本人は相当多いのではないか。
また、彼が心から反省して更正し、弁護士にでもなったら、益々、世間が怒ると思う。
「取り返しのつかない」ことをした訳だから、もう、取り返せない。
まったく救いのない悲劇である。

6. 印税を遺族に渡せとかいう意見もあるが、彼は民事裁判で2億円の賠償を課せられている。
印税の一部(大部分)は当然、賠償に回る。