「ひかりごけ」 武田泰淳2011年05月01日 00時10分48秒

ひかりごけ
この本は、高校生の頃に読んだのか、途中で止めてしまったのか、正確に憶えていません。
今から30年以上も前のことですから。
ぼくの曖昧な記憶によると、本は買ったけど、読了しなかったような気がします。
ですが、今回はきちんと読みました。

内容に関しては、ただお読みくださいとしか言いようがありません。
しかしこの本の構成というのは、かなりユニークで、こういった形式をよく編集者が許したと思います。
それともこの時代は、作家が原稿を書けば、そのまま本になったのでしょうか?

「ひかりごけ」に関して忘れられないのは、ぼくが所属していた「近代文学鑑賞クラブ」(白鴎高校の3年の時)で、顧問の太田先生がこの本を課題に取り上げようとした時です。
最初は、太田先生が、「次回はこの作品・・・」と言いながら、少し考え込んで「やっぱり止めた」と言ったのです。

今になってみると、その理由がよく分かります。
この本は、ちょっと高校生にはナイーブ過ぎるかなと思います。

太田先生は、若く、思考が柔らかく、ユニークな人で、ぼくに文学の道案内をしてくれました。
本当に大好きな先生で、自宅まで遊びに行ったこともあります。

ですが、なんと病気で急逝。
新婚早々、赤ちゃんが生まれたばかりでした。

白鴎高校時代、最も忘れがたい恩師です。

「プレシャス」を観る2011年05月02日 12時39分13秒

プレシャス
友人に勧められて、観てみました。

アメリカの弱い部分を描いた良質な映画だと思います。
しかし、アメリカ人がこういう映画を作って、アメリカ人がそれを観て、一体何になるの? という感じ。

こういう映画は、アメリカ人以外の人たちが観て、アメリカという国は「腐った国」、「決して見習ってはいけない国」、「金持ちのための民主主義の国」ということを理解すればいいのでしょう。

ですが、あえていえば、そういったメッセージ性がちょっと弱かった気がします。
アメリカの「貧困」や「児童性的虐待」を扱えば、話は経済から政治に行かざるを得ませんが、監督がそういうところから少し逃げたような気もします。

惜しい点がいくつかありますが、この種の映画を日本で作ることはまず不可能でしょう。
そういうアメリカの文化は力強いと思います。

「ビン=ラディン殺害」とは要するに人殺し2011年05月02日 20時24分13秒

今日はびっくりすようなニュースが飛び込んできました。

アメリカ軍がオサマ・ビン=ラディンを殺害したというのです。
世紀の大悪人、世界一のテロリストが殺されたのですから、アメリカは言うに及ばず、世界中が歓喜の大騒ぎです。
菅総理大臣も歓迎のコメントを出しています。

だけど、これって要するに「人殺し」でしょ?
なんで、「人殺し」が賞賛されるのですか?

本来であれば、ビン=ラディンを拘束・逮捕して、たとえば国連の場でその犯罪性を裁くべきです。

一見、世間が沸き立っているように見えるのは、キリスト教国とアメリカに尻尾をふる国の中だけ。
イスラム世界からは、これでアメリカはさらなる憎悪を買うことになるでしょう。

ビン=ラディンのテロが許されないのは、もちろん言を待ちません。
じゃあ、ブッシュの戦争はテロじゃないのですか?
まるでチンピラ・ヤクザのようにイラクに因縁をつけて、イラク国家を崩壊させて、イラクの民間人は10万人以上死んだと言われています。

何の罪もない人々を10万人も殺しておいて、ブッシュはテロリストではないと言うのですか?
ビン=ラディンとブッシュには、何の違いもありません。

そのブッシュを世界で最も熱く応援した日本の小泉。
この男が所属した自民党は、今でも日本で最大人気の政党です。
我々の大好きな自民党・小泉・ブッシュ・アメリカ。
無辜の民、10万人が殺害されても、我々はそれに対して別に腹も立てないし、嘆くでもない、悲しむでもない、ま、日本人とはそういう民族ということです。

でも、今回の「人殺し」を賞賛するような真似だけは、みなさん、子どもの前でしないようにしましょうね。

しかし菅さんも、少しはましなことが言えないのか?
どうせ支持率が低いんだから、「人殺しはやめましょう」くらいは言ったらどうか?
自民党に尻尾をふってどうするんだ。

「白い人・黄色い人」遠藤周作2011年05月03日 09時36分17秒

白い人・黄色い人
これも古典です。
こういった古典をここのところ読んでいます。

この本の一番いいところは、テーマとかプロットではなくて、遠藤周作の文章そのものだと思います。
さすがに、文学者というか、ああいう文章は素人には絶対に書けないと思います。

彼の留学経験も、文章の中に大きく生きていると思います。
だがやっぱりそれは彼の才能。

ぼくも、ベルンやアムステルダムの美しい街並を見ましたが、あれを文章にすることはできない。

プロの作家というのは、映像を記憶して留めておいて、それを文字に変換する能力があるんでしょうか?

教師よりもエライ学生2011年05月04日 17時12分10秒

先日、生徒を馬鹿にする英語教師の話を書きましたが、あれから時は流れ、時代は変わりました。

今の千葉大医学部での教育現場では、生徒が教師を評価するようになっています。
つまり、生徒が教師の授業に対して点数を付けるのですね。
え? たとえ話かって?

いえいえ、本当に点数を付けるんです。

学生からのクレームは教官に伝えられます。
「専門的すぎる!」
「教科書に書いてある内容を、講義しても意味がない!」
「スライドを使うな! プリントをくれ!」
「話がつまらない!」 などなど。

面白いことに(教官であるぼくからすると、不快なことに)、後ろの席に座る学生ほど(こういう学生は遅刻して教室に入ってくる)、教官への点数が厳しいのです。

学習熱心な生徒は、教官に高い点数を付けます。
おそらく、やる気があるから授業も面白いのでしょう。

さて、こんなことが数年前にありました。もちろん医学部での授業です。
ぼくの知人の教官Aさんが、授業をしていたら、学生がペットボトルを取り出して、飲みながら授業を受けている。
Aさんはその行為を注意して、飲食しながら授業を受けることは許さない、飲むなら教室から出て行けと命じました。

皆さんは、この学生の行為をどう感じますか?

後日、Aさんは、教育担当の教授から呼び出されたそうです。
そして、「君! 何てことを言うんだ! 学生の教育を受ける権利を奪うのか!」と激しく叱責されたそうです。

このエピソードは、今からもう10年以上も前かもしれません。
その頃からすでに、学生が教官よりも「エラク」なっていた訳です。

これが良いことか悪いことか、ぼくには何とも判断がつきません。
ちなみに、ぼくの授業の評価は学生からの「採点」によると、数多い教官の中でもかなり上位だったそうです。
ま、自分なりに一生懸命やったことが評価されたのでしょうか。

「恐怖の報酬」を観る2011年05月05日 21時57分51秒

恐怖の報酬
小学生くらいの時に、テレビでこの映画を観た記憶があります。
スリルとサスペンスに富んで、めちゃくちゃ面白かった記憶が。

今回、このDVDで500円で買えると知り、早速購入、視聴しました。

たしかに、「いくつもの越えるべき難題」があって、そこにスリルは感じましたが、ちょっと監督さんの演出力が弱いかな。
こんなに面白い設定なんだから、もっと面白い映画が作れたような気がします。

もしぼくが脚本家だったら、「トラック運転手は積み荷の内容を知らない」という設定にするな。
ミッションは「揺らしてはいけない」「時間通りに到着する」の2点だけ。

運んでいるうちに、積み荷が「ニトログリセリン」と分かった方が、遙かに盛り上がると思いますが、いかがでしょうか?

大学で勉強2011年05月06日 21時43分54秒

クリニックが終わって急いで帰宅し、19時に大学病院へ行きました。
関連病院カンファレンスという名の勉強会です。

小児外科医を長くやっていれば、この分野でのあらゆる病気は、見て、聞いて、知っているつもりになりますが、実際はそうではありません。

こんな病気がこの世にはあるんだ! と驚かされます。
また、けっこう身近な病気でも、ここまで重症化するんだ! とびっくり。

人間の体というのは本当に難しいものです。

19時から21時まで、みっちり勉強しました。
ちょっと肩が凝って疲れました。
明日の診療を終えれば、また休みがやってきます。
朝から気合いを入れて、がんばりましょう。

佐古百美さんが描いた「命のカレンダー」の原画がやってきた!2011年05月07日 17時47分09秒

命のカレンダーの原画
我が家の玄関ホールには、絵を飾るスペースがあるにも関わらず、これまで良い絵に巡り会いませんでした。
良い絵というのは、家族全員が喜ぶ絵のことです。

ところが!

東日本大震災のチャリティーの一部として、拙著「命のカレンダー」のカバーデザインを描いてくださった佐古百美さんが、原画を譲ってくださると。
そしてついに到着!

なんて綺麗な色使いなんでしょうか?
世界に1枚だけの絵。
これは我が家の家宝です。

佐古さん、本当にどうも有り難うございました!!

ブログ、独立。2011年05月08日 13時50分49秒

5年前に書き始めたブログは1600本を越え、多くの方から応援をもらっています。
たまに苦情や文句がつきますが、そういう時に限って、よくぞ言ってくれた! というコメントがその数倍はつきます。

さて、このブログは今まで、クリニックのホームページの目次にのせていましたが、完全に独立させることにしました。

理由はいくつかあります。
まず、タイトルですが、「小児外科医のオフィスから」というのは、今のぼくには相応しくなくなりました。
ぼくは、学会の定義によればもう小児外科医ではないし、「日本外科学会」も「日本小児外科学会」もそのうちにやめようと思います。

最近は自分の肩書きを「医者」にしています。
「小児外科医」とはあまり名乗りません。

そしてブログの内容ですが、ぼくはとても政治的な人間なので、初めての人が、クリニックのホームページを見てブログに到達すると、かなり驚いてしまうのではないかと思います。

ぼくは、自民党が嫌いで、読売新聞が嫌いで、アメリカの覇権主義が嫌いで、天皇制を否定しています。
日本の主流の考えから言えば、相当にへそ曲がりです。

こういうことを、ブログに書かないという選択もありますが、人間には「政治的人間」と「非・政治的人間」がいます。
ぼくは前者であり、そしてそれが嫌なのですが、そこから逃れることができずに苦しんでいます。
だから書く。
そういったブログがクリニックのホームページとくっついていると、そんなクリニックには受診したくないという人も出てくるでしょう。
あるいは、いやいや受診する人もいるでしょう。

そうならば、ブログの方は、あくまでも「松永正訓」という人間の個人の場所として、クリニックから切り離そうと考えた訳です。

クリニックのホームページからリンクが切れて、「お気に入り」から外れたためでしょうか、このブログへのアクセス数が激減しています。
でも、それで良いと思います。
本当に興味のある人は、必ず検索してここに辿り着くと思います。

「ものぐさ自転車の悦楽~折りたたみ自転車で始める新しき日々」疋田 智2011年05月09日 00時06分50秒

ものぐさ自転車の悦楽
夜になって読み始めて気がついたら24時に読了していました。
なので、早速、感想を書きます。

この本は「折りたたみ自転車」の魅力がいっぱい書かれています。
ですから、本来ならば、読んでいるうちにワクワクするはず。
ところが、もう一つのことが書かれています。
それは、日本における自転車乗りのマナーのひどさです。
これがあるために、読んでいて気持ちがとても憂鬱になります。

だけど、疋田 智さんの訴えってものすごく重要なことだと思います。
「自転車は車道の左側を走る」
このことを、くり返し強く主張していました。

ぼくも以前から、通勤の時にこれが気になっていました。
本当にみんなルールを守らない。
法律を守らない。
なんでこんなことがまかり通るのでしょうか?

昨日、実はぼくは自転車を買ったんです。
早速5キロの距離を走りました。
でも一気に気持ちが萎えた。
ぼくがルールを守っていても、右側を走る人がいれば、正面衝突するかもしれませんよね?

それから、自転車は歩道を走るときは、あくまでも「徐行」が原則で、人をどかせる目的でベルを鳴らしてはいけないそうです。
つまり「人」優先。
知ってましたか?
実はこのことは、ぼくも知りませんでした。

疋田さんが主張していることは、言ってみれば「蟷螂の斧」みたいなものかもしれません。
だけどぼくは、少し感動しました。
たった一人の人間が声をだし続ければ、世界は変わるとぼくは信じているからです。
開業医の世界だって。
患者を診ないで薬を処方するのは法律違反です。
ぼくは、必ず患者を診ます。
「薬だけ」というのは、無し。
ぼくは愚鈍にそれを続けるつもりです。

疋田さん、がんばって「自転車は車道の左側」と言い続けてください。
そういう社会が来るのは50年後、それとも100年後?
でも、いいじゃないですか? いつかそういう成熟した社会になれば。