「まさか」の人生 (読売新聞社会部「あれから」取材班)2025年07月02日 19時34分30秒

「まさか」の人生 (読売新聞社会部「あれから」取材班)
「あれから」シリーズ、第2弾です。今回もおもしろかったです。
やっぱり最も興味があったのは、日本で最初に行われた島根医大の生体部分肝移植の話です。
あれは本当に突如として出てきた話なので、当時、ぼくらはぶっ飛んだ記憶があります。
でも、お子さんは亡くなっているんですね。
免疫抑制がうまくいかなかったのかな。
今と違ってノウハウがゼロですからね。

そのほかにもおもしろい話がたくさんありました。懸賞生活のなすびさんとか。
要は、「あなたの人生、教えてください」なんです。街録チャンネルと同じです。
これってノンフィクションの王道ですよね。

最大の謎は、これがなぜ、中央公論から出版されていないかです。
中央公論って読売新聞ビルの中にあるんですよ。
何か、大人の事情ですかね??
電車の中でサクッと読んでしまいました。
みなさんも、ぜひ、どうぞ。

日本経済の死角 ――収奪的システムを解き明かす(河野龍太郎)2025年07月11日 22時13分46秒

日本経済の死角 ――収奪的システムを解き明かす(河野龍太郎)
日本の労働者の賃金はなぜ上がらないのか? それは生産性が上がっていないから?
いえ、そうではないようです。
生産性は3割も上昇しています。
ところが賃金はずっと横ばいなんです。
なぜでしょう? それを論じた本です。
読んでいるうちになんか悲しくなってしまいました(笑)。
現在、大ベストセラー中。
こういうアカデミックな本が売れるというのは、非常にすばらしいと思います。
みなさんも、ぜひ、どうぞ。
ただ、ちょっと難しい本ではあります。

うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと(デラさん)2025年07月15日 11時24分21秒

うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと(デラさん)
この領域に関心があって読んでみました。
鬱という病気はなかなか難しく、「心の風邪」みたいに言う人もいますが、そんなに簡単ではぜんぜんないと思います。
薬物治療は確かに重要で、脳の病の部分には薬で対処する必要があります。
しかし健康な心の部分もあります。そこに働きかけることも重要。
鬱を受け入れて、認めること。
今までの自分とは違う自分を生きること。
発想を転換していくこと。それが重要なんだと思います。
そうした工夫の数々がこの本で紹介されていました。
鬱の人だけじゃなくて、生きづらさを感じている人が読んでもヒントを得られると思います。

なぜ週刊誌だけがスクープを連発できるのか: 元文春記者が見るスキャンダルの裏側(赤石 晋一郎)2025年07月20日 17時21分08秒

なぜ週刊誌だけがスクープを連発できるのか: 元文春記者が見るスキャンダルの裏側(赤石 晋一郎)
元文春記者の赤石さんの作品です。
本の大半は、ジャニーズ性加害事件・松本人志事件・中居正広&フジテレビ問題について詳しく語られます。
知っていることも少々、知らないことも多々ありました。
最後になり、文春記者たちへのインタビューがあって、彼ら彼女らがどう考えて記事を作っているのかが語られます。
こっちもおもしろかった。

赤石さんは言います。
週刊誌とは大衆のメディア、そして弱者のためのメディア。
それは真実だと思います。
特に弱者の人権問題は、大手メディアは報道してこなかったと思います。
ですが、それは報道に値しないのではなく、大手メディアのアンテナが低いのかなと思います。

私見ですが、週刊誌でも書籍でも、ノンフィクションの世界には「瓦版」の要素は絶対に必要です。
誰も興味を持たないことを書いても意味がないわけです。
取材の出発点は好奇心でいいのではないでしょうか?
立花隆の田中角栄金脈報道も、きっかけは「好奇心」だったと立花さんは語っていました。
そこからどういう化学反応が起きるかは最初はわからないでしょう。
巨悪を暴くことになったり、弱者の人権を守ったり。
自由に報道するということは非常に重要で、報道のない世界に民主主義はありません。

すべての週刊誌は経営的に苦しいと聞きますが、まだまだ社会的役割はたくさんあります。
ネットの時代をどう生きるか、、、それは取材力がすべてでしょう。
取材する力がある限り、生き残るのではないでしょうか。

本の雑誌8月号2025年07月21日 12時35分48秒

本の雑誌8月号
横田増生さんが『本の雑誌』に登場したというので、早速読んでみました。
自宅の書棚の紹介です。
なるほど、さすがプロの作家さんですね。
整然と、大量の本がまとめられています。

ぼくはもう、ジャンルごとに本を整理するというのは諦めて、新書と文庫文は出版社ごと、そして単行本は無秩序に押し込んでいます。
当然、本を探すときは大変な苦労があります。
何冊あるのか分かりませんが、書斎とフレックスルームに分けて収納しています。3000冊くらいかな?

最近はもう本を仕舞うスペースがないので、電子書籍で読書しています。
字が大きくで読みやすのですが、資料として使う場合は不便ですよね。
ぼくは医者を引退するときに、作家も引退すると思います。
家族に迷惑がかからないように、その段階で本を全部始末する(売却する)予定です。

山崎豊子先生の素顔(野上孝子)2025年07月22日 19時47分28秒

山崎豊子先生の素顔(野上孝子)
やや古い本なんですが、中古で購入しました。
山崎豊子さんの秘書さんが書いた、作家の舞台裏です。
もっとも興味があったのは、もちろん『白い巨塔』について。

巷間では、モデルが大阪大学と言われることも多いのですが、阪大は取材を拒否したそうです。
なので、阪大はモデルではありません。
そして噂通り、財前五郎のモデルは、千葉大第二外科の中山恒明教授でした。
中山先生は、手術中に壁掛け時計に目をやるそうです。
短時間のオペにこだわっていたのでしょう。小説の中の財前も同じです。
中山先生の弟子で、ぼくの師匠である高橋英世教授が「手術は1分でも1秒でも早く終わらせろ!」とよく言っていましたが、これは中山先生の教えでしょう。

それから「財前」という名前は映画のプロデューサーから拝借したそうです。
のちに、大阪成人病センターの神前五郎(こうさきごろう)先生に出会ってびっくりしたそうです。

『続・白い巨塔』では、誤診裁判の控訴審になります。
山崎豊子は、国立がんセンターの久留勝先生を訪ね、「どうやったら、財前に勝てますか?」と裁判をどうひっくり返せばいいか、教えを乞うたそうです。

『白い巨塔』はものすごい取材力で成り立っていますが、これには毎日新聞出版のスタッフが相当関わったようですね。
さすがにあれは個人の取材力では書けないでしょう。