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現代思想 2016年10月号 緊急特集「相模原障害者殺傷事件 」2016年09月30日 11時42分10秒

現代思想
読み応えのある1冊でした。
多くの識者が意見を述べていましたが、ぼくが興味をもったのは斎藤環先生の文章です。
雑誌「創」でも同様のことを述べていましたが、先生の主張は「措置入院」が正しかったのか、という問題提起です。

措置入院は、容疑者と友人や家族との関係を分断し、結果として孤立を招いた訳です。
また、措置入院という医療が、彼に「あなたは精神疾患である」という(正しいかどうかわからない)レッテルを貼った面があります。
その結果、彼は自暴自棄になり、社会への復讐を企てたという解釈です。
弱者はより弱者を叩く傾向があります。
彼は精神疾患者とされたことで、この世で最も弱い人を攻撃した可能性は十分にあります。

妄想を抱いた人間がすべて犯罪をおかすわけではありません。
なおかつ、彼が妄想を持っていたかわかりません。
この容疑者の犯行動機は、妄想ではなく確信犯としての思想だったと僕は読んでいます。

クレージーな思想を抱いた理由は、彼の人間性に起因するのでしょう。
そういった人間が施設の職員として働いたために、目の前の利用者さんを尊重できず差別の方向に舵を切ったのでしょう。
知ることは重要ですが、理解しないと何にもなりません。
都知事だった石原さんが重心の施設を見学して、障害者の人格を否定する発言をしたことと同じです。
差別の心を増幅させるくらいならば、「知らない」方がまだよかったとさえ思います。

容疑者が衆議院議長や安倍総理に手紙を渡そうとしたのは、自民党の政治家ならば自分の思想を理解してくれると思ったからでしょう。
僕はそう感じます。