黒澤明「静かなる決闘」を観る2010年11月03日 23時07分30秒

黒澤作品の中では珍しく無名に近い一作ですが、秀作だと思います。
黒澤監督が何を考えて映画を作っていたかもよく分かりますし、彼なりの「純愛」というものがどういうものかはっきりと伝わってきます。

クライマックスで三船敏郎が「魂の叫び」を上げる場面。

自伝「蝦蟇の油」によれば、黒澤さんは感動のあまり涙が止まらず、体が震え、そのせいで床が揺れてしまったと。
これはまずいとカメラマンに目をやると、カメラマンも涙を流していたといいます。

この作品の直前には「酔いどれ天使」を撮影していますから、三船さんは180度反対の役を演じたことになりますね。

いずれにしても「赤ひげ」を含めて、黒澤さんは医者という職業に高い倫理性を感じていたのかもしれません。