「心にナイフをしのばせて」奥野修司 ― 2009年05月02日 21時49分55秒
ちょっと圧倒されるような本でした。
奥野修司さんの「心にナイフをしのばせて」。
今からおよそ40年前に起こった「もう一つの酒鬼薔薇事件」。
高校1年生が高校1年生を・・・・。
詳しくは書きません。
本書は、殺された高校生の母、それと妹へのインタビューから成り立っています。
というか、妹さんのモノローグでできている本と言ってもいいかもしれません。
被害者家族がどれだけの生き地獄に突き落とされるかが、延々と書かれています。
妹さんの語りもすごいと思いますが、「あとがき」にも書いてあるように、このインタビューの素材を再構成して文章にしたのは奥野さんの筆力です。
この筆の力がすごい。
人間を描き切った一級品のノンフィクションと断言できます。
ただ、本の論旨に関しては、「被害者の人権と救済に配慮を」という点に関しては120%賛成しますが、「少年犯罪あるいは精神障害者犯罪に厳罰を」という風潮が社会の中で増していくことには注意が必要と個人的には考えます。
これは同時に「あぶない人間を野放しにしてもいい」という短絡的な議論でもありません。
この事件の犯人・少年Aは、なんとその後、一流大学を卒業して弁護士になったというじゃないですか?
被害者が貧しい生活をしているのに、かたや加害者は金持ち?
そういう言い方もあるかもしれませんが、少年Aは少年法の趣旨に則り、見事に更生したと言えるかもしれません。
現にその後は、まったく犯罪に関わっていないのですから。
事件を経ておよそ40年。
Aから被害者家族に謝罪の言葉はないそうです。
なんともやりきれない虚しい思いが残ります。
最後に駄文を。
タイトルの「心にナイフをしのばせて」は、重要なフレーズではありますが、この本のタイトルとしてはちょっと文学的過ぎるように思います。
実際にはベストセラーになったのだから、これで良かったのかもしれませんが、もっと写実的なタイトルが良かったと思います。
カバーの装丁も文学的過ぎる気が。もちろん悪い意味で。
いかがでしょうか?
さらに駄文を。
この本には批判もあることを知りました。
それは少年Aがいじめを受けていたという指摘です。
本書ではそれは「からかい」程度とされていますが、いじめという問題は多面的に見なければ全貌が分かりません。
少年Aは「ブタ」呼ばわりされていたことは、本書でも認められています。
そして、この本を書いたことによって被害家族がさらに傷ついたという指摘です。
これは難しい。
「寝た子を起こした」ということですね。
うーん。
さらに嫌なことが。
ネット上ではAの実名とか職場の情報が晒されているとか。
こうなると、本書の評価とは全然関係ないですね。
奥野修司さんの「心にナイフをしのばせて」。
今からおよそ40年前に起こった「もう一つの酒鬼薔薇事件」。
高校1年生が高校1年生を・・・・。
詳しくは書きません。
本書は、殺された高校生の母、それと妹へのインタビューから成り立っています。
というか、妹さんのモノローグでできている本と言ってもいいかもしれません。
被害者家族がどれだけの生き地獄に突き落とされるかが、延々と書かれています。
妹さんの語りもすごいと思いますが、「あとがき」にも書いてあるように、このインタビューの素材を再構成して文章にしたのは奥野さんの筆力です。
この筆の力がすごい。
人間を描き切った一級品のノンフィクションと断言できます。
ただ、本の論旨に関しては、「被害者の人権と救済に配慮を」という点に関しては120%賛成しますが、「少年犯罪あるいは精神障害者犯罪に厳罰を」という風潮が社会の中で増していくことには注意が必要と個人的には考えます。
これは同時に「あぶない人間を野放しにしてもいい」という短絡的な議論でもありません。
この事件の犯人・少年Aは、なんとその後、一流大学を卒業して弁護士になったというじゃないですか?
被害者が貧しい生活をしているのに、かたや加害者は金持ち?
そういう言い方もあるかもしれませんが、少年Aは少年法の趣旨に則り、見事に更生したと言えるかもしれません。
現にその後は、まったく犯罪に関わっていないのですから。
事件を経ておよそ40年。
Aから被害者家族に謝罪の言葉はないそうです。
なんともやりきれない虚しい思いが残ります。
最後に駄文を。
タイトルの「心にナイフをしのばせて」は、重要なフレーズではありますが、この本のタイトルとしてはちょっと文学的過ぎるように思います。
実際にはベストセラーになったのだから、これで良かったのかもしれませんが、もっと写実的なタイトルが良かったと思います。
カバーの装丁も文学的過ぎる気が。もちろん悪い意味で。
いかがでしょうか?
さらに駄文を。
この本には批判もあることを知りました。
それは少年Aがいじめを受けていたという指摘です。
本書ではそれは「からかい」程度とされていますが、いじめという問題は多面的に見なければ全貌が分かりません。
少年Aは「ブタ」呼ばわりされていたことは、本書でも認められています。
そして、この本を書いたことによって被害家族がさらに傷ついたという指摘です。
これは難しい。
「寝た子を起こした」ということですね。
うーん。
さらに嫌なことが。
ネット上ではAの実名とか職場の情報が晒されているとか。
こうなると、本書の評価とは全然関係ないですね。
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