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医療現場は地獄の戦場だった(井上 理津子, 大内 啓)2021年03月20日 22時22分14秒

医療現場は地獄の戦場だった
本としての完成度には少し疑問がつきますが、知らないことがいくつかあって参考になりました。

アメリカは州によって法律や社会のシステムが異なりますので、この本に書かれたことがアメリカのすべてではありません。
口述筆者の医師は、マサチューセッツ州のブリガム・アンド・ウィメンズ病院勤務です。
コロナが流行し始めたとき、マサチューセッツ州の主要病院は、コロナ以外の患者を診ることを一切停止したそうです。
日本と違って病床が足りた理由はこれでしょう。
しかし、病気はコロナだけではありませんから、癌や心筋梗塞、脳卒中の患者の救命率は相当低下したのではないでしょうか?

また、アメリカには、日本でいう保健所に相当するものがないそうです。
患者はとにかくERに運び込まれて、重症肺炎であれば入院だし、軽症であればコロナ陽性でも自宅へ帰されるそうです。
日本みたいに全例、入院またはホテル療養ということはありません。
自宅で2週間おとなしくしててねと言われるだけで、呼吸困難になったら病院に連絡を取るそうです。
これではコロナが大流行するのは当然です。
日本では保健所が、濃厚接触者を追跡していってPCRを行いますから、日米の違いは顕著です。
それから、アメリカ人はマスクをつける習慣がないことも書かれていました。
ま、これは有名な話ですね。

麻生さんは、日本でコロナが少ない理由を「民度が違う」と発言しましたが、保健所の人たちの頑張りをまず挙げる必要があるのではないでしょうか?

アメリカでは、ERの医師の仕事は病気の重症度を判定して、必要なら挿管することです。あとは、ICU の医師に引き継がれます。
ICU の医師は救急救命医ですから、人工呼吸器やエクモの取り扱いに慣れていると思いますが、感染症の知識はどうなんでしょうか?
感染症専門医もICUの治療に参加するのかな? そこは一切書かれていませんでした。
悪く言えば、ERの先生は挿管するだけです。
分業が徹底しているアメリカの医療らしい話ですね。

本の後半には、口述著者の医学部受験などの個人史が書かれていますが、さすがにその部分には興味を持てなかったです。
また、日米の医療制度の違いも、ほとんど常識的なことが述べられているだけの感じでした。

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