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妻はサバイバー(永田 豊隆)2022年05月03日 19時58分42秒

妻はサバイバー
これは強烈な本でした。
奥さんは摂食障害。食べ吐きを繰り返し、大量に食べ物を買うので、貯金がゼロになります。
新聞記者であるご主人は激務の中、懸命に奥さんを支えます。
しかし経済的に行き詰まり、サラ金に手を出すことも考えます。

摂食障害はアルコール依存症に移行します。
本人には飲んでいるという自覚がありませんので、依存症から脱することができません。
大量に飲酒し、リストカットをし、睡眠薬を大量服用します。ベランダから飛び降りようとしたことも何度もあります。

精神科病院に医療保護入院になったことも数えきれないほどで、保護室に入れられたり、身体拘束も行われます。
本人の同意のない入院も拘束もしかたないと思わざるを得ませんでした。

この生活が20年。アルコールは奥さんの体を壊し、認知症にまで追い込みます。認知症になったことで、ようやく精神疾患の暴風は止みます。
なぜ奥さんはここまで荒れてしまったのでしょうか? それは幼年期のトラウマに遡ります。心の傷がジクジクと膿を出して、それを治すために自分で治療した手段が食べ吐きとアルコールだったのです。

ご主人はここまでの道のりを奥さんに伴走してきました。途中で、離婚も考えるし、このまま死んでくれたらと考えることもありました。でも一緒にいた。
それを共依存という言葉でまとめる書評も読みましたが、それはちょっと違うと思います。

夫婦とはこういうものだと思います。相手が重い病気になったとき、最後まで面倒を見ることができるのは親でも子でもなくて、夫婦だとぼくは思うのです。
そういう夫婦の姿をこの本で読むことができて、本当に良かったと思います。

大変優れた1冊ですので、ぜひお読みになることをおススメします。

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