「脳死」と「心臓移植」―あれから25年 和田 寿郎 ― 2014年04月13日 15時32分44秒
今日はこういう本も読んだ。
サイエンスは誰のためにあるのか? ― 2014年04月13日 20時06分37秒
価値があるサイエンスとは、「普遍性」があって「一般性」、「共通性」があって、少しでも多くの人に役立ち、結果として人類の福祉とか健康とかより良い暮らしに貢献するものです。
だから、科学者が何か新しい発見をしたらそれを一流雑誌に掲載し、世界中の学者がそれを追試して、誰もが同じ結果を得て次のステップに進むことが大事なんです。
ここまでの過程を経て、本当の意味で科学の進歩と言えるでしょう。
山中先生のiPS細胞はまさにそいった道のりを歩んでいます。
ところが彼女は200回、細胞の作製に成功したと言っておきながら、それには「コツ」とか「ちょっとしたレシピ」があると言ってそれを明かしません。
もしこの細胞が実在するならば、彼女はそれを独り占めしようとしている訳です。さらにはその「行程」を次の論文で発表したいみたいなことも言っています。
つまり1個のネタで複数の論文を「稼ごう」としている。
この姿勢を見るだけで、彼女は科学者として及第点に達していないと分かります。
いったい、どういう教育を受けて来たのでしょうか?
記者会見ではこの細胞が多くの人に役立って欲しいと述べていました。
一般の人はその台詞を聞いて、ああ、彼女は立派な人だと思ったかもしれません。
しかしこれは科学界では「決まり文句」なんです。
論文を書く時も、研究費の申請書類を書く時も、いかに自分の研究が人様のお役に立つかを強調する。
意地悪い言い方をすれば、これは空念仏のようなものです。
本当に彼女がこの細胞を使って難病の人達の役に立ちたいならば、今すぐにでも「コツ」や「レシピ」を公表すべきです。
そういうことはしないで、重要な写真を、「悪意はない」けれど単純に取り違えてしまう。
彼女がもし地位保存のために訴訟でも起こせば勝てるかもしれませんが、サイエンスの世界では通用しません。
残念ですが、もう終わっています。
だから、科学者が何か新しい発見をしたらそれを一流雑誌に掲載し、世界中の学者がそれを追試して、誰もが同じ結果を得て次のステップに進むことが大事なんです。
ここまでの過程を経て、本当の意味で科学の進歩と言えるでしょう。
山中先生のiPS細胞はまさにそいった道のりを歩んでいます。
ところが彼女は200回、細胞の作製に成功したと言っておきながら、それには「コツ」とか「ちょっとしたレシピ」があると言ってそれを明かしません。
もしこの細胞が実在するならば、彼女はそれを独り占めしようとしている訳です。さらにはその「行程」を次の論文で発表したいみたいなことも言っています。
つまり1個のネタで複数の論文を「稼ごう」としている。
この姿勢を見るだけで、彼女は科学者として及第点に達していないと分かります。
いったい、どういう教育を受けて来たのでしょうか?
記者会見ではこの細胞が多くの人に役立って欲しいと述べていました。
一般の人はその台詞を聞いて、ああ、彼女は立派な人だと思ったかもしれません。
しかしこれは科学界では「決まり文句」なんです。
論文を書く時も、研究費の申請書類を書く時も、いかに自分の研究が人様のお役に立つかを強調する。
意地悪い言い方をすれば、これは空念仏のようなものです。
本当に彼女がこの細胞を使って難病の人達の役に立ちたいならば、今すぐにでも「コツ」や「レシピ」を公表すべきです。
そういうことはしないで、重要な写真を、「悪意はない」けれど単純に取り違えてしまう。
彼女がもし地位保存のために訴訟でも起こせば勝てるかもしれませんが、サイエンスの世界では通用しません。
残念ですが、もう終わっています。
わが子がダウン症と告知された87人の声 ― 2014年04月14日 21時55分48秒
大学病院へ行く ― 2014年04月16日 20時46分22秒
今日の休診日は、大学病院へ行き脳外科を受診してきました。
解離性脳動脈瘤を発症して、この夏で12年になります。
発症時、早朝に頭痛で目覚めたことが今でも明瞭な記憶として残っています。
単なる偶然なんですが、実は今朝、4時半に頭痛で目覚めたんです。
痛みの程度は大したことがなく、12年前とは比べようもありません。
しかし、やはりあの時を思い出す。
痛みよりも恐怖感が先立って、結局そのまま眠れませんでした。
で、大学病院脳外科を受診して、主治医の先生と面談。
血圧も安定しているし、麻痺などの症状もありませんので、このまま経過観察。
次回受診時は、MRAを撮影することにしました。
次回受診と言えば、千葉大病院には5階建ての立派な外来診察棟が完成します。
一体どこにそんなお金があるのでしょうか?
ま、それで患者さんが幸せならば良いことです。
それにしてもつくづく思うのは、大学病院の職員(医者から事務まで)の患者さんへの対応が本当に良くなったことです。
時代は変わったなと思います。
さて、次回の受診までこれまでと同じように体調に気をつけて、体を労りましょう。
解離性脳動脈瘤を発症して、この夏で12年になります。
発症時、早朝に頭痛で目覚めたことが今でも明瞭な記憶として残っています。
単なる偶然なんですが、実は今朝、4時半に頭痛で目覚めたんです。
痛みの程度は大したことがなく、12年前とは比べようもありません。
しかし、やはりあの時を思い出す。
痛みよりも恐怖感が先立って、結局そのまま眠れませんでした。
で、大学病院脳外科を受診して、主治医の先生と面談。
血圧も安定しているし、麻痺などの症状もありませんので、このまま経過観察。
次回受診時は、MRAを撮影することにしました。
次回受診と言えば、千葉大病院には5階建ての立派な外来診察棟が完成します。
一体どこにそんなお金があるのでしょうか?
ま、それで患者さんが幸せならば良いことです。
それにしてもつくづく思うのは、大学病院の職員(医者から事務まで)の患者さんへの対応が本当に良くなったことです。
時代は変わったなと思います。
さて、次回の受診までこれまでと同じように体調に気をつけて、体を労りましょう。
万年筆は金に限る ― 2014年04月18日 20時25分17秒
小学生の頃に習字をならっていたお陰と思いますが、自分で言うのも何ですが、ぼくはけっこう字がキレイなんです。
そして書くのも好き。
ちなみにワープロのタイプはとても遅い。
で、書くのが好きなので、万年筆が好き。現在15本所有しています。
このうちもっとも書き心地が良い2本を紹介しましょう。
まずはモンブランです。ぼくがクリニックを開業した時に、新聞記者をやっている友人から頂きました。
ペン先は当然「金」。
おそらく値段は6万円くらいでしょう。まるで毛筆で書いているかのように滑らかに書ける。
感動的です。
所有場所はクリニック。
患者さんから(まれですが)本にサインを求められるとモンブランで署名します。
そしてもう一本が、パイロット。
小学館ノンフィクション大賞を受賞した時に、講談社の編集者からお祝いに頂きました。
これがびっくりするくらいに「しなやかに」書ける。
なぜだろう? 何でこんなにしなやかなのだろう?
そこで、(ぼくは老眼がひどいので)ペン先をマクロ撮影してみました。
ああ、やはり。「14金」です。そして「SM」というのは、「ソフトな中文字」の意味でしょう。
これはパイロットが推している、日本語がキレイに書ける万年筆ですね。
道理でしなやか。
保管場所は、ぼくのバッグ。自宅でもクリニックでも出先でも常に一緒。いつでもこの万年筆でメモを取ることができます。
各メーカーにはそれぞれ「くせ」がありますが、万年筆の良さを決めるのは、「長さ」「重さ」「太さ」「ペン先のしなやかさ」です。
これは好みですからどのメーカーが良いとは一概に言えませんし、人によって判断が異なるでしょう。
自宅の書斎ではペリカンを使っていますが、ちょっと軽すぎる。
もう一本買おうかと現在物色中です。
そして書くのも好き。
ちなみにワープロのタイプはとても遅い。
で、書くのが好きなので、万年筆が好き。現在15本所有しています。
このうちもっとも書き心地が良い2本を紹介しましょう。
まずはモンブランです。ぼくがクリニックを開業した時に、新聞記者をやっている友人から頂きました。
ペン先は当然「金」。
おそらく値段は6万円くらいでしょう。まるで毛筆で書いているかのように滑らかに書ける。
感動的です。
所有場所はクリニック。
患者さんから(まれですが)本にサインを求められるとモンブランで署名します。
そしてもう一本が、パイロット。
小学館ノンフィクション大賞を受賞した時に、講談社の編集者からお祝いに頂きました。
これがびっくりするくらいに「しなやかに」書ける。
なぜだろう? 何でこんなにしなやかなのだろう?
そこで、(ぼくは老眼がひどいので)ペン先をマクロ撮影してみました。
ああ、やはり。「14金」です。そして「SM」というのは、「ソフトな中文字」の意味でしょう。
これはパイロットが推している、日本語がキレイに書ける万年筆ですね。
道理でしなやか。
保管場所は、ぼくのバッグ。自宅でもクリニックでも出先でも常に一緒。いつでもこの万年筆でメモを取ることができます。
各メーカーにはそれぞれ「くせ」がありますが、万年筆の良さを決めるのは、「長さ」「重さ」「太さ」「ペン先のしなやかさ」です。
これは好みですからどのメーカーが良いとは一概に言えませんし、人によって判断が異なるでしょう。
自宅の書斎ではペリカンを使っていますが、ちょっと軽すぎる。
もう一本買おうかと現在物色中です。
ヤノマミ (新潮文庫) 国分 拓 ― 2014年04月20日 21時31分17秒
友人に勧められてNHKオンデマンドで「ヤノマミ」を観ました。
あっと言う間に見終わったという感じでしたが、150日も取材した良さが表現されていないかなと、ちょっと惜しい気が。
そこで文庫本を読みました。
大宅賞を受賞した作品ですので、本来ならばとっくに読んでいなくてはいけない本なのですが、赤ちゃんの間引きのシーンがあることを知っていたために敬遠していたのです。
で、読んでみて、とても面白かった。大宅賞は当然でしょう。
こういった作品が立派な賞を取ると、NHKという組織力・財力があったからこそ書けたんだという批判が必ずあります。
でもそういう部分を差し引いても内容は高く評価できるし、国分さんは文字通り命を懸けて取材を行っています。
決してNHKの力の庇護のもとにぬくぬくと密着取材をした訳ではありません。
面白い本とは書きましたが、驚くような本ではなかったとも言えます。
それは本多勝一さんが1960年代に「ニューギニア高地人」「カナダ=エスキモー」を書いているからです。
現代に生きる「狩猟採集民族」がどういうものか、事前にぼくは知っていた訳ですね。
そして狩猟採集民族では、新生児が間引きされることもまた常識みたいなものではないでしょうか。
かれらには人工妊娠中絶という方法がありませんから、間引きになる。
日本では終戦直後の頃は、毎年70万件の堕胎がおこなわれていました。
現在でも20万件です。それの「変形」だと感じました。
少数民族を保護しようと文明が押し寄せると、その民族の文化が破壊されていくのは、「カナダ=エスキモー」でも描かれています。
いずれにしても「テレビ」よりも、「本」の方が段違いに面白かった。
「映像」と「文字」の可能性を論じるうえで、興味深いですね。
あっと言う間に見終わったという感じでしたが、150日も取材した良さが表現されていないかなと、ちょっと惜しい気が。
そこで文庫本を読みました。
大宅賞を受賞した作品ですので、本来ならばとっくに読んでいなくてはいけない本なのですが、赤ちゃんの間引きのシーンがあることを知っていたために敬遠していたのです。
で、読んでみて、とても面白かった。大宅賞は当然でしょう。
こういった作品が立派な賞を取ると、NHKという組織力・財力があったからこそ書けたんだという批判が必ずあります。
でもそういう部分を差し引いても内容は高く評価できるし、国分さんは文字通り命を懸けて取材を行っています。
決してNHKの力の庇護のもとにぬくぬくと密着取材をした訳ではありません。
面白い本とは書きましたが、驚くような本ではなかったとも言えます。
それは本多勝一さんが1960年代に「ニューギニア高地人」「カナダ=エスキモー」を書いているからです。
現代に生きる「狩猟採集民族」がどういうものか、事前にぼくは知っていた訳ですね。
そして狩猟採集民族では、新生児が間引きされることもまた常識みたいなものではないでしょうか。
かれらには人工妊娠中絶という方法がありませんから、間引きになる。
日本では終戦直後の頃は、毎年70万件の堕胎がおこなわれていました。
現在でも20万件です。それの「変形」だと感じました。
少数民族を保護しようと文明が押し寄せると、その民族の文化が破壊されていくのは、「カナダ=エスキモー」でも描かれています。
いずれにしても「テレビ」よりも、「本」の方が段違いに面白かった。
「映像」と「文字」の可能性を論じるうえで、興味深いですね。
「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」山中 伸弥, 緑 慎也 ― 2014年04月21日 21時43分14秒
2012年にベストセラーになった本です。
今さらですが、読んでみました。
iPSに関する書物は何冊か読んだ経験があるので、さすがにiPSの発見の過程や、その技術については知っていました。
面白かったのは、「VW」というスローガン。
フォルクスワーゲンではありません。
Visionを持って、Work hard しろ! ということです。
そしてiPSの発表を「ネイチャー」や「サイエンス」ではなく、「セル」にしたという裏話がよかった。
一般の人にはちょっと分かりにくいかもしれませんね。
この3つのジャーナルはインパクト・ファクターが30点くらいで、生物科学の世界ではトップなんです。
しかしジャーナルの名前をよく読んでもらえば分かるように、「ネイチャー」と「サイエンス」は、「生物」以外の論文も掲載される。
つまり「数学」とか「物理学」とか「天文学」とか。
だから非常に世間的に話題性がある。
しかし冊子が薄く、一つの論文のページ数が少ないんです。
その点、「セル」は一般的にはほとんど馴染みはありません。
だけど分厚い雑誌で、一つの論文のページ数も大変多い。データもたくさん載せることができる。
山中先生はわずか4つの遺伝子を繊維芽細胞にレトロウイルス・ベクターで導入することで、ES様細胞を作った。
こんなもん、普通は誰も信じない。
だから「セル」に失敗例も含めてすべてのデータを掲載したのだそうです。
山中先生の研究者としての実直さが伝わってくると同時に、現在騒がれている細胞といかに状況が違うかよくわかります。
大変面白い本でしたし、ベストセラーになったのも当然という気がします。
だけど余計なことを言うようですが、もしぼくがインタビュアーだったら全然別のことも質問していたと思います。
(その結果、つまらない本になる可能性も大いにありますが。)
この本を読んで気が付いたのは、ぼくと山中先生は、医学部に入った年も、大学院に進学した年も同じなんです。
ぼくも「ネイチャー」を目指して研究しましたから、「あの時代」に科学ができることの限界がぼくには手に取るようにわかる。
ノックアウト(KO)マウスの論文などはたくさん読んだけれど、そこでその方向に行くか行かないかで人生が決まってしまうんですよね。
1匹のKOマウス作成にものすごい時間が必要だった時代でしたし、KOを作っている科学者は、なにか技術屋のようなイメージもあった。
それでもそこを乗り越えた山中先生の心境などぜひ聞いてみたいですね。
そういう点がいくつかありました。
あとは、読者に分かりやすいようにと、説明を簡単にし過ぎて却って分からない部分もありました。
ネオマイシン耐性遺伝子のKO細胞を使ったES細胞化の検定とか。一般の人にあれってわかるのかな。
だけど同時に緑慎也さんでなければ聞けないような良質な質問も多数ありましたね。よく調べてからインタビューしていると思いました。
しかし24個の遺伝子を同時に繊維芽細胞に入れるって、常識外れもいいところです。
世紀の大発見は誰もが思いつかない、爆発的なアイデアから生まれるということを改めて教えられました。
そして科学者は患者を見ろというのがぼくの持論ですが、山中先生がALSの患者さんの苦痛を語る最後の部分はとてもよかったと思います。
今さらですが、読んでみました。
iPSに関する書物は何冊か読んだ経験があるので、さすがにiPSの発見の過程や、その技術については知っていました。
面白かったのは、「VW」というスローガン。
フォルクスワーゲンではありません。
Visionを持って、Work hard しろ! ということです。
そしてiPSの発表を「ネイチャー」や「サイエンス」ではなく、「セル」にしたという裏話がよかった。
一般の人にはちょっと分かりにくいかもしれませんね。
この3つのジャーナルはインパクト・ファクターが30点くらいで、生物科学の世界ではトップなんです。
しかしジャーナルの名前をよく読んでもらえば分かるように、「ネイチャー」と「サイエンス」は、「生物」以外の論文も掲載される。
つまり「数学」とか「物理学」とか「天文学」とか。
だから非常に世間的に話題性がある。
しかし冊子が薄く、一つの論文のページ数が少ないんです。
その点、「セル」は一般的にはほとんど馴染みはありません。
だけど分厚い雑誌で、一つの論文のページ数も大変多い。データもたくさん載せることができる。
山中先生はわずか4つの遺伝子を繊維芽細胞にレトロウイルス・ベクターで導入することで、ES様細胞を作った。
こんなもん、普通は誰も信じない。
だから「セル」に失敗例も含めてすべてのデータを掲載したのだそうです。
山中先生の研究者としての実直さが伝わってくると同時に、現在騒がれている細胞といかに状況が違うかよくわかります。
大変面白い本でしたし、ベストセラーになったのも当然という気がします。
だけど余計なことを言うようですが、もしぼくがインタビュアーだったら全然別のことも質問していたと思います。
(その結果、つまらない本になる可能性も大いにありますが。)
この本を読んで気が付いたのは、ぼくと山中先生は、医学部に入った年も、大学院に進学した年も同じなんです。
ぼくも「ネイチャー」を目指して研究しましたから、「あの時代」に科学ができることの限界がぼくには手に取るようにわかる。
ノックアウト(KO)マウスの論文などはたくさん読んだけれど、そこでその方向に行くか行かないかで人生が決まってしまうんですよね。
1匹のKOマウス作成にものすごい時間が必要だった時代でしたし、KOを作っている科学者は、なにか技術屋のようなイメージもあった。
それでもそこを乗り越えた山中先生の心境などぜひ聞いてみたいですね。
そういう点がいくつかありました。
あとは、読者に分かりやすいようにと、説明を簡単にし過ぎて却って分からない部分もありました。
ネオマイシン耐性遺伝子のKO細胞を使ったES細胞化の検定とか。一般の人にあれってわかるのかな。
だけど同時に緑慎也さんでなければ聞けないような良質な質問も多数ありましたね。よく調べてからインタビューしていると思いました。
しかし24個の遺伝子を同時に繊維芽細胞に入れるって、常識外れもいいところです。
世紀の大発見は誰もが思いつかない、爆発的なアイデアから生まれるということを改めて教えられました。
そして科学者は患者を見ろというのがぼくの持論ですが、山中先生がALSの患者さんの苦痛を語る最後の部分はとてもよかったと思います。
STAP細胞を誤解してはいけない ― 2014年04月22日 19時42分09秒
山中先生はiPS細胞の確立でノーベル賞を受賞しました。
受賞するのは確実でしたから、問題は「取るか否か」ではなく、「いつ取るか」にあったと思います。
ぼくの率直な感想は思ったよりも早かったということです。
何故かと言うと、iPSはまだ臨床応用されていなかったから。しかし、ノーベル委員会が山中先生とジョン・ガードンを同時受賞としたことで、受賞の意味がよくわかったと言えます。
ジョン・ガードンの実験は1960年代におこなわれました。
カエルの体細胞の核を取り出し、これを核を取り除いた卵細胞に移植する。核移植ですね。
すると、その卵細胞からオタマジャクシがうまれる。
つまり、分化が終了した体細胞にも、すべての器官に分化できる全遺伝情報が残っている(万能性が担保されている)ことを証明した訳ですね。
山中先生は、こういった実験の積み重ねの上に着想を得た。つまり、成熟した体細胞を初期化して万能性を持ったES細胞みたいものを作ろうと。
ES細胞では何故ダメか? それはES細胞が所詮は他人の細胞だからです。
つまり再生医療に使おうと思っても拒絶反応が起きる。
自分の体細胞を初期化して万能細胞を作りたい訳です。
従って山中先生の業績は「マウスの成熟した体細胞を初期化して万能細胞を作った」ことにあります。
ジョン・ガードンの受賞は、山中先生の研究の原理を支えたからです。
ではSTAP細胞が実在するとしましょう。
ある人はこれをノーベル賞級の大発見と言います。
本当でしょうか?
全然そんなことはない。
iPSは「山中因子」の遺伝子導入で初期化された。
STAPは、紅茶のような弱酸で初期化できると言います。
しかし、それは「マウスの成熟した体細胞を初期化して万能細胞を作った」ことには何の変わりもないのです。
ビショップとバーマスがノーベル賞を取ってしまえば、ロバート・ワインバーグは受賞できません。
サイエンスのパラダイムを作った人にだけノーベル賞は与えられるのです。
STAPは当初、iPSよりも「簡単、高効率、安全」に作成できるというふれ込みでした。しかしこれはウソであると現在明らかになっています。
哺乳動物の体内で自然にそういうことが起こっていれば驚異的な発見ですが、そんなことはほとんどあり得ない。
もしSTAPが本物だとしても、乗り越えていかなければならない課題は山のようにあります。
一般の人は、iPSは遺伝子を導入して作ったのだから、何か人工的で危なっかしいと思うかもしれません。
一方、STAPは紅茶ですから、自然で安全であると。
こういう誤解は分子生物学を知らない人の意見です。
生命現象のあらゆる表現は遺伝子の働きによるのですから、「山中因子」を外から加えようと、紅茶で誘導しようと、結局、体細胞の中では猛烈な遺伝子発現やエピゲノムの変化が起きている。
だって、成熟した体細胞が初期化されるんだから。
従って、STAPだって、もしc-Mycが過剰発現していれば癌化するかもしれない。
その時は、iPSと違って、c-MycをN-mycやL-mycに取り替えたりできない。
そういうことをきちんと知った上で、われわれはSTAPを理解した方が良い。
すくなくとも、「この細胞の存在が証明されたらノーベル賞」などということは、絶対に無いと断言しましょう。
受賞するのは確実でしたから、問題は「取るか否か」ではなく、「いつ取るか」にあったと思います。
ぼくの率直な感想は思ったよりも早かったということです。
何故かと言うと、iPSはまだ臨床応用されていなかったから。しかし、ノーベル委員会が山中先生とジョン・ガードンを同時受賞としたことで、受賞の意味がよくわかったと言えます。
ジョン・ガードンの実験は1960年代におこなわれました。
カエルの体細胞の核を取り出し、これを核を取り除いた卵細胞に移植する。核移植ですね。
すると、その卵細胞からオタマジャクシがうまれる。
つまり、分化が終了した体細胞にも、すべての器官に分化できる全遺伝情報が残っている(万能性が担保されている)ことを証明した訳ですね。
山中先生は、こういった実験の積み重ねの上に着想を得た。つまり、成熟した体細胞を初期化して万能性を持ったES細胞みたいものを作ろうと。
ES細胞では何故ダメか? それはES細胞が所詮は他人の細胞だからです。
つまり再生医療に使おうと思っても拒絶反応が起きる。
自分の体細胞を初期化して万能細胞を作りたい訳です。
従って山中先生の業績は「マウスの成熟した体細胞を初期化して万能細胞を作った」ことにあります。
ジョン・ガードンの受賞は、山中先生の研究の原理を支えたからです。
ではSTAP細胞が実在するとしましょう。
ある人はこれをノーベル賞級の大発見と言います。
本当でしょうか?
全然そんなことはない。
iPSは「山中因子」の遺伝子導入で初期化された。
STAPは、紅茶のような弱酸で初期化できると言います。
しかし、それは「マウスの成熟した体細胞を初期化して万能細胞を作った」ことには何の変わりもないのです。
ビショップとバーマスがノーベル賞を取ってしまえば、ロバート・ワインバーグは受賞できません。
サイエンスのパラダイムを作った人にだけノーベル賞は与えられるのです。
STAPは当初、iPSよりも「簡単、高効率、安全」に作成できるというふれ込みでした。しかしこれはウソであると現在明らかになっています。
哺乳動物の体内で自然にそういうことが起こっていれば驚異的な発見ですが、そんなことはほとんどあり得ない。
もしSTAPが本物だとしても、乗り越えていかなければならない課題は山のようにあります。
一般の人は、iPSは遺伝子を導入して作ったのだから、何か人工的で危なっかしいと思うかもしれません。
一方、STAPは紅茶ですから、自然で安全であると。
こういう誤解は分子生物学を知らない人の意見です。
生命現象のあらゆる表現は遺伝子の働きによるのですから、「山中因子」を外から加えようと、紅茶で誘導しようと、結局、体細胞の中では猛烈な遺伝子発現やエピゲノムの変化が起きている。
だって、成熟した体細胞が初期化されるんだから。
従って、STAPだって、もしc-Mycが過剰発現していれば癌化するかもしれない。
その時は、iPSと違って、c-MycをN-mycやL-mycに取り替えたりできない。
そういうことをきちんと知った上で、われわれはSTAPを理解した方が良い。
すくなくとも、「この細胞の存在が証明されたらノーベル賞」などということは、絶対に無いと断言しましょう。
論文捏造 (中公新書ラクレ) 村松 秀 ― 2014年04月23日 11時37分30秒
サイモン・シンの科学ノンフィクションを読んでいるかのような超一級の面白さでした。
ふと気づけば深夜。一気読みです。
超伝導の驚異的な大発見で次から次に業績を打ち立てたベル研究所の若きシェーン。
5年の間に63本の論文を書き、そのうち16本が「ネイチャー」と「サイエンス」。
しかしこれはほとんどが捏造によるもので、シェーンはベル研を解雇されます。
なぜシェーンは捏造をしたのか? この本からそれはわかりません。
しかし科学界は捏造に極めて弱いことがよくわかる。
理由はたくさんありますが、それはぜひ本書を読んでください。
さて、捏造と言えば・・・。
「若い研究者」
「世紀の大発見」
「ネイチャーに論文掲載」
「誰も再現できない」
「疑義の噴出」
「調査委員会の設置」
「データの加工・データの使い回しが判明」
「単純なミスという弁明 悪意はないという弁明」
「実験ノートの不在」
「機会があれば、自分で再現するとの弁明」
「誰かがいつか再現するとの弁明」
「大学院生時代にも不正」
「共同研究者が大物のために、周囲は信じた」
「共同研究者の、自分は上司ではないからチェックはできなかったという言い訳」
「名義を貸しているだけの論文共著者」
「ネイチャーにはチェック機構はない」
「研究所全体にもチェック機構はない」
さて、これはヤン・ヘンドリック・シェーンの話でしょうか?
科学界の研究不正・捏造はいくらでも例があります。
研究結果のインパクトが大きければ大きい程、科学界全体が再現性を求めますので、バレることになる。
絶対にバレると言ってもいい。
なぜそんなことをするのでしょう?
これがぼくにはどうしても分からない。
この世の中には、代理ミュンヒハウゼン症候群という理解しがたい病気があります。
母親がわが子に障害を与えて、懸命に看護し、周囲からの同情を惹くという虐待の一種です。
絶対にバレる大嘘を国家レベルとか世界レベルでやってしまう心の病理に思いを向けていたら、なぜか代理ミュンヒハウゼン症候群を想起してしまいました。
他人から注目を浴びて大事にされたいがために、超えてはならい最も重要な倫理規範を犯すという意味で似ているからかもしれません。
こんなに面白い本には滅多に出会えませんから、ぜひ、一読をお勧めします。
追記1)ヤノマミと同様にNHK取材班による作品です。かならず、読者からNHKは取材費が潤沢で恵まれているという揶揄が出ます。ぼくも羨ましいとは思いますが、そう言われても作者は困ると思います。
追記2)ヤノマミでは「映像」と「言葉」とで、異なった表現をしていました。しかし本書の「地の文」は印象として「映像のナレーション」に近かった。それが悪いとは思いませんが、「ノンフィクション文学」としての表現にもっと挑戦してもいいかなと感じました。
ふと気づけば深夜。一気読みです。
超伝導の驚異的な大発見で次から次に業績を打ち立てたベル研究所の若きシェーン。
5年の間に63本の論文を書き、そのうち16本が「ネイチャー」と「サイエンス」。
しかしこれはほとんどが捏造によるもので、シェーンはベル研を解雇されます。
なぜシェーンは捏造をしたのか? この本からそれはわかりません。
しかし科学界は捏造に極めて弱いことがよくわかる。
理由はたくさんありますが、それはぜひ本書を読んでください。
さて、捏造と言えば・・・。
「若い研究者」
「世紀の大発見」
「ネイチャーに論文掲載」
「誰も再現できない」
「疑義の噴出」
「調査委員会の設置」
「データの加工・データの使い回しが判明」
「単純なミスという弁明 悪意はないという弁明」
「実験ノートの不在」
「機会があれば、自分で再現するとの弁明」
「誰かがいつか再現するとの弁明」
「大学院生時代にも不正」
「共同研究者が大物のために、周囲は信じた」
「共同研究者の、自分は上司ではないからチェックはできなかったという言い訳」
「名義を貸しているだけの論文共著者」
「ネイチャーにはチェック機構はない」
「研究所全体にもチェック機構はない」
さて、これはヤン・ヘンドリック・シェーンの話でしょうか?
科学界の研究不正・捏造はいくらでも例があります。
研究結果のインパクトが大きければ大きい程、科学界全体が再現性を求めますので、バレることになる。
絶対にバレると言ってもいい。
なぜそんなことをするのでしょう?
これがぼくにはどうしても分からない。
この世の中には、代理ミュンヒハウゼン症候群という理解しがたい病気があります。
母親がわが子に障害を与えて、懸命に看護し、周囲からの同情を惹くという虐待の一種です。
絶対にバレる大嘘を国家レベルとか世界レベルでやってしまう心の病理に思いを向けていたら、なぜか代理ミュンヒハウゼン症候群を想起してしまいました。
他人から注目を浴びて大事にされたいがために、超えてはならい最も重要な倫理規範を犯すという意味で似ているからかもしれません。
こんなに面白い本には滅多に出会えませんから、ぜひ、一読をお勧めします。
追記1)ヤノマミと同様にNHK取材班による作品です。かならず、読者からNHKは取材費が潤沢で恵まれているという揶揄が出ます。ぼくも羨ましいとは思いますが、そう言われても作者は困ると思います。
追記2)ヤノマミでは「映像」と「言葉」とで、異なった表現をしていました。しかし本書の「地の文」は印象として「映像のナレーション」に近かった。それが悪いとは思いませんが、「ノンフィクション文学」としての表現にもっと挑戦してもいいかなと感じました。
「消えた鼓動―心臓移植を追って」 (ちくま文庫) 吉村 昭 ― 2014年04月23日 22時04分58秒
今日はこういう本も読みました。
研究者の倫理観も当然大事ですが、臨床医だってまったく同じことです。
こういう貴重なサンプルがある訳ですから、「医の倫理」を医学部は医学生にきちんと教えるべきです。
研究者の倫理観も当然大事ですが、臨床医だってまったく同じことです。
こういう貴重なサンプルがある訳ですから、「医の倫理」を医学部は医学生にきちんと教えるべきです。


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