「謎の独立国家ソマリランド」(本の雑誌社)高野 秀行2013年04月06日 21時11分55秒

謎の独立国家ソマリランド
しばらく前に読んだのですが、書評を書くのを忘れていました。
高野秀行さんの名前は前から知っていましたが、本を読むのはこの作品が初めて。
500ページの大著ですが、面白くてすぐに読了してしまいました。

ソマリアと言えば、みなさんは「海賊」を思い浮かべるのではないでしょうか?
ぼくもそうでした。
そして、何でそんな不法行為がアフリカ東岸でまかり通っているのか、疑問に思うのではないでしょうか?
そして、「ソマリア」と「ソマリランド」はどういう関係にあるのかにも興味をもつでしょう。

そんな訳で読んでみたのですが、私たちの常識(日常)からかけ離れた国のリポートを、(悪い意味での)私たちの常識から飛び越えた高野さんが書いているのですから、まあ、つまらない訳がありません。

「面白い」「興味を惹かれる」「驚く」といったリポートのほかにも、「鋭い視点」や「考えさせられる意見」も多々ありました。

たとえば、イスラム原理主義・過激派の思想は「コーランに戻れ」ということであって、これは毛沢東主義に通じるという指摘。
毛沢東主義はいまでも資本主義に対抗する強力なイデオロギーというのは、深くうなずける意見です。
また日本の国会の二院制をソマリランド人が、システムとして「意味がない」と喝破するところは、ごもっともと返すしかありません。

旧ソマリアは、三つの国による内戦状態になっています。
なぜ内戦が解決しないか。
それはトラブルがビジネスになっているからです。
海賊だって、現地の人々(決して少人数ではない)にとってビッグビジネスなんですね。
だから内戦も海賊も終わらない。
だけど、その三つの中で、ソマリランドだけが治安を回復して平和を手に入れてしまったんですね。

現在ベストセラー中のようです。
辺境冒険家作家の面目躍如です。興味のある方はぜひ読んで見てください。

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