がん治療革命 ウイルスでがんを治す(藤堂具紀)2026年03月31日 21時20分11秒

がん治療革命 ウイルスでがんを治す(藤堂具紀)
ちょっと前の本なんですが、いろいろ思うことがあり読んでみました。
藤堂先生は、東大の脳神経外科の教授。
ヘルペスウイルスを改変して、脳腫瘍に感染させて、これを破壊する腫瘍融解ウイルス療法を開発しました。
ぼくが先生のお名前を知ったのは、今から20年以上前です。
科学雑誌で特集されていたのです。
ぼくは、反射的に「あ! これだ」と思いました。
すぐに千葉大の分子ウイルス学の教授に相談。その結果、神経芽腫に対する腫瘍融解ウイルス療法の研究に入りました。
Sindbis ウイルスを使って神経芽腫にアポトーシスを起こすのです。

ですが、ぼくは2006年に大学を退職。後輩の何人かが研究を引き継いでくれて、博士も誕生しましたが、残念ながら臨床応用まではいきませんでした。

本書はさすがに、口述筆記だと思うのですが(東大の教授なので、本を書く暇などない)、どういう読者層をターゲットにして、何を訴えたかったか、もう少し編集部は練った方がよかったと思います。
治験の大変さが延々と語られますが、一般読者はこういうことに興味があるでしょうか? (ぼくは、ある)
とはいえ、その部分がないと、分量として1冊の本にならないので、本を作るとは本当に難しいですね。

いずれにしても、アメリカ留学して改変ヘルペスウイルスを作り、日本で治験をやって保険承認を得たわけですから、藤堂先生の業績は偉大としか言いようがありません。
トランスレーショナルリサーチの一つの完成形ではないでしょうか。
現在、どれくらいたくさんの患者さんがこの治療を受けているのか、ぜひ知りたいところです。