死刑のある国で生きる(宮下洋一) ― 2023年01月11日 23時20分48秒

これは大変クオリティーの高い作品でした。
テーマは簡単に言えば、死刑は是か非か。昔からあるテーマなので、あまり期待しないで読みました。
ところが、その取材が広く、深く、また文献的考察も十分で、宮下さんの思索も非常に深く練られていました。
ぼくはこれまで宮下さんの本を何冊も読み、書評も週刊現代に書いたことがあります。
これまでもいい本を出してきましたが、今回はちょっとそれらを突き抜けた感があります。
本の終盤で、殺人事件の被害者遺族にインタビューする場面などは、思わず引き込まれました。
よく話が聞けたものです。
また、フランスでの「現場射殺」という死刑の変形のようなものは、日本でなぜ死刑制度が存置しているかの説明になっているように思えます。
結局死刑制度は宗教と強く関係しており、「赦し」という宗教観念のない日本をキリスト教圏と同様に考えるのは無理がありそうです。
また、世界で最も治安のいい国だからこそ、死刑が残り続け、個人の感情というよりも「地域」の感情が死刑を維持しているのかもしれません。
ノンフィクション作品としては一つの到達点に行き着いていると思います。
ぜひ、おススメします。読んでみてください。
テーマは簡単に言えば、死刑は是か非か。昔からあるテーマなので、あまり期待しないで読みました。
ところが、その取材が広く、深く、また文献的考察も十分で、宮下さんの思索も非常に深く練られていました。
ぼくはこれまで宮下さんの本を何冊も読み、書評も週刊現代に書いたことがあります。
これまでもいい本を出してきましたが、今回はちょっとそれらを突き抜けた感があります。
本の終盤で、殺人事件の被害者遺族にインタビューする場面などは、思わず引き込まれました。
よく話が聞けたものです。
また、フランスでの「現場射殺」という死刑の変形のようなものは、日本でなぜ死刑制度が存置しているかの説明になっているように思えます。
結局死刑制度は宗教と強く関係しており、「赦し」という宗教観念のない日本をキリスト教圏と同様に考えるのは無理がありそうです。
また、世界で最も治安のいい国だからこそ、死刑が残り続け、個人の感情というよりも「地域」の感情が死刑を維持しているのかもしれません。
ノンフィクション作品としては一つの到達点に行き着いていると思います。
ぜひ、おススメします。読んでみてください。
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