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人生はそれでも続く・読売新聞社会部「あれから」取材班2022年08月23日 22時32分17秒

人生はそれでも続く (新潮新書) 新書 – 2022/8/18
読売新聞の人物企画「あれから」を書籍化した1冊です。
当時話題になったあの人は、今どうしているのか?
そういった人間ドラマを綴った作品です。
読売新聞がそういう企画を立てたというのは、何か意外な感じがします。
この本では、22人のその後が描かれています。

一つの物語が10ページ弱ですから、サクサクと読めるのですが、しっかりと読んでみると実に取材が深いことが分かります。
これは一人のライターが書くのは無理。
新聞社の社会部の記者たちが書いたからこそ成り立ったのでしょう。

どの話も興味深かったのですが、ぼくの興味で三つ取り上げてみます。
まずは、千葉大の飛び級入学。大きなニュースになりましたね。
最初の合格者は今どうしているのか。
たぶん、千葉大は天才に早期教育をして大天才に育てたかったのだと思うんですよね。
しかしそうはならなかった。彼は就職にすら苦労します。
この制度はどうなんでしょうか。生きるということは難しいですね。千葉大も最後まで面倒をみればいいのに。

そして、プロレスラー三沢光晴にバックドロップを放って死なせてしまったレスラー。
受け身の天才と言われた三沢がなぜ亡くなったのでしょうか。それは本書を読んでも分かりませんでしたが(そのことを書きかったわけではない)、死なせたレスラーの苦悩は深く描かれていました。
生前に三沢さんが遺したという手紙(言葉)が泣けますよね。

最後に赤ちゃんポスト。初年度に預けられた子の中には、3歳の幼児がいたんですよね。
その子は、里親に引き取られ、その後に養子縁組。新しい人生が待っていました。現在はもう大学生です。
実の母親は、彼を捨てたんでしょうか? その疑問も解消されます。
親子ってなんだろうかと、ぼくはいつも考えます。

「あれから」は企画の勝利であり、また同時に新聞記者の取材の深さの勝利でもあります。
大変楽しく読みました。
おススメします。ぜひ、読んでみてください。