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小児のギモンとエビデンス ほむほむ先生と考える 臨床の「なぜ?」「どうして?」堀向 健太 (著), ぼく (イラスト)2022年03月31日 21時46分12秒

小児のギモンとエビデンス ほむほむ先生と考える 臨床の「なぜ?」「どうして?」
ほむほむ先生の本を読みました。
イラストや漫画もたくさん使われていますので、保護者向けの本かと思いましたが、ゴリゴリの専門家(医者)向けの本でした。
小児全般の日常疾患について、エビデンスをベースにして、どう診断し、どう治療していくかが述べられています。

さすがにぼくもこの仕事を35年やってますので、多くの内容は知っていました。
しかし根拠は何?と聞かれると答えに詰まります。
さらに言えば、知らないことも多々ありました(恥)。
おそらく小児科医がこの本を読めば、なんとなく知っていたことがクリアになる、という感じでしょう。
内科医や耳鼻科医が読むと、とても勉強になると思います。

この本で唯一納得がいかなかった点は、急性副鼻腔炎の定義です。臨床症状だけで、定義できるでしょうか?
集団保育を受けている子どもたちは延々と鼻水を垂らしています。また、治りかけてまた増悪することもいくらでもあります。
これは細菌感染が加わったというより、別のウイルスに感染したとぼくは見ています。
そうすると、ぼくの考えでは、子どもに細菌性急性副鼻腔炎という病気はほとんどない・・・ということになります。
もしくは、普通の風邪と急性副鼻腔炎は同じものという解釈になります。

確かに成人では感冒症状に続けて、頬のあたりが赤くなり痛みを伴うことがあります。これは細菌感染の副鼻腔炎でしょう。そしてAMPCを飲むとすぐに改善します。こうした成人にウォータース法でX線を撮影すれば、はっきりとした所見が得られると思います。
子どもではそういう病態は極めて少ないと思いますよ。普通感冒でもウォータース法で撮影すれば、副鼻腔に所見が出てしまうと思います。

ぼくはどんなに鼻症状が長引いても抗生剤は使いません。
鼻を洗浄して、吸引すればやがてよくなっていきます。
「小児における細菌感染による急性副鼻腔炎」というのは、まだまだ診断も治療も十分にクリアになっていないのではないでしょうか。

この本は現在ベストセラー。
時代がエビデンスを求めているのでしょう。
これだけの文献を読破するのは大変だったと思います。
それから値段が3740円もしますが、売れています。いい本は高くても売れるという好例です。

小児医療に携わるすべての人にオススメです。

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