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あなたの隣の精神疾患(春日 武彦)2021年06月19日 22時17分41秒

あなたの隣の精神疾患
精神疾患に関する本は昔から興味があるのでときどき読みます。
本書は、啓蒙書なのかメディカルエッセイなのか、その中間なのかよく分からない本でした。でも面白く読みました。
ただ、タイトルの『あなたの隣』というのがどういう意味かよく分かりませんでした。
一番面白かったのは「おわりに」で、こういうエピソードというか著者が体験したことをエッセイの形で書いたら、ものすごく面白い本ができるのではないかと考えました。

さて、ぼくはみなさんが思っているほど神経が太くなく、もっとはっきり言えば神経質です。これは小学生の頃からずっと続いています。
未来予測をなんでも悪い方へ考えて、先手をうって防御策を講じますので疲れるんです。何通りも考えるから。
高校生の頃は自死について正面からかなり考えて、あまりこういう本を読むと引きずり込まれると怖くなり、ある時から距離を置くようにしました。

医師という仕事をしていると、精神科医でなくても統合失調症の人やうつ病の人に出会います。また、発達障害の大人にも出会います。病名をあらかじめ知らされていなくても、うつ病と統合失調症の陰性症状の区別はついたりします。
そういう患者さんをみていると、自分の中にも心の脆弱な部分があることを、鏡を覗き込むように自覚することができます。
結局ぼくはうつ病とかは経験していませんが、それはあくまでも現時点での話で、今後年老いていくとどうなるか誰にも分からないことでしょうね。

この本の話に戻ると、パーソナリティー障害のところで、BPD(境界性パーソナリティー障害=神経症と精神疾患の境界)の成立には、愛着障害と重なるところがあるという指摘があり、納得がいきました。
またいわゆるクレーマーにはBPDの要素を持っているという指摘は、ちょっと危ういなと思いつつも、納得できる面がありました。
また、たまにはこういう本もいいのではないでしょうか。