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理系女性の人生設計ガイド 自分を生かす仕事と生き方(大隅 典子, 大島 まり, 山本 佳世子)2021年06月09日 21時50分04秒

理系女性の人生設計ガイド 自分を生かす仕事と生き方
タイトルもいい、企画もいいと思い、ものすごく期待して読みました。
この本を作った意欲みたいなものはとてもよく伝わってきましたが、ちょっとその思いが上滑りしているような印象でした。
構成も文章も少し散らかっている感じで、どうにも惜しいなというのが正直な感想です。

それから、これまで(今も)女性が不当に評価されてきたという主張も、その通りではありますが、あまりにも当たり前で、そういうことではなく、もっと先の一歩を読みたかったと思います。
大隈先生も大島先生もぼくとほぼ同じ年齢ですから、こうしたベテランの先生に話を聞けば、どうしたってガラスの天井を突破するような話になります。
でも、そこを突き詰めるのであれば、柳澤桂子さんの『二重らせんの私』のような深い話を読みたかったなと思います。
また、高校生・大学生などに人生をどう設計するか、実践的なガイドブックを作るのであれば、同じブルーバックスの坪田一男さんの『理系のための〇〇ガイド』シリーズのような「細かすぎる」実用性があってもよかったなと感じます。

リケジョと言っても、医学部・薬学部・看護学部に関しては女性の進出はとっくの昔に始まっています。
医学部に関して言うと、医者という仕事は女性にとても向いていると思います。医者に必要な素養は何かと考えると、コミュニケーション能力がまず第一にくるでしょう。
医師の基本は患者から話を聞き、患者に語りかけることにあります。この点は、女性の方が圧倒的に優れています。
男性はどうしても父権主義的になりますし、話を聞くのも上手ではありません。説明も下手な人が多い。

ただ、女性の弱点として体力的に強くないことがあげられます。
やはり外科の世界は体力勝負になる場面があり、たとえば、手術を12時間くらい続けるのは女性には難しいでしょう。
食道癌の手術などは2〜3チームが交代で執刀したりしますが、ぼくは12時間くらいは続けてやるくらいでないと、医師としてちょっとだらしないと思います。また手術の完成度も分担するよりメインの執刀者がやり切った方が上だと思っています。

これからジェンダーギャップはどんどん解消されますので、理系を志す女性はどんどんチャレンジしていったらいいのではないでしょうか。
リケジョなんていう言葉もいずれなくなると思います。