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「そのとき」までをどう生きるのか(山崎 章郎)2021年04月07日 19時17分02秒

「そのとき」までをどう生きるのか
大変いい本でした。
2018年が初版ですから、どうも増刷された気配がありません。こういういい本が多くの人に読まれないというのは、本当に悲しいです。
本来ならばベストセラーになって欲しいような本です。
この本には大切なことが書かれています。最大の読みどころは、スピリチュアルペインとは何かを説明した部分ではないでしょうか?
先生は、スピリチュアルペインを他者との関係で説明しています。
「真の拠り所となる他者の不在の結果生じる、その状況における他者との関係性のあり様が肯定できないことから生じる苦痛」と定義しています。まったくその通りと思います。
いま、こうありたいと思う自分の姿と、現実を突きつけられた自分に乖離があった場合、人は苦しむのではないでしょうか?
その乖離に深く関わるのが、拠り所となる他者の有無です。
ぼくは以前の著者で、「人は何のために生きるのか? それは人と人との関係を結ぶため」と書いたことがあります。
人と繋がっていない人間は自死に追いやられたりします。
逆に人と繋がっていれば、自死もせず、安楽死したいとも思いません。
こうした苦痛に医療者はどう対応すればいいのでしょうか?
それは真に拠り所となる他者になり患者に接することです。そのためには、当事者の思いに共感しながら、ひたすら耳を傾ける人間になることです。
緩和ケアとは、身体的苦痛をモルヒネで除去するだけでなく、心理的苦痛・社会的苦痛、そしてスピリチュアルペインも取り除かなくてはいけません。
つまり全人的なケアをするということです。
これは緩和ケア医だけの仕事ではなく、医者であれば誰もができなくてはいけません。

ぼくは、思えばいいタイミングで大学病院を辞めたと思います。当時のぼくは、がんの子どもを入院から退院まですべて診ていました。
病気の説明に始まり、抗癌剤治療を行い、放射線治療の計画を立て、もちろん手術も自分の手でやりました。病理組織も全例、自分の目で見ました。骨髄移植も自分の手でやりました。
すべての治療をやり尽くしても病気が再発した時には、緩和ケアをしました。緩和ケアとは、患者(子ども)だけでなく、家族をもケアしていくことが小児医療では極めて重要です。
病院で亡くなった子も、自宅で亡くなった子もいます。どういう最終段階を生きるのか、親御さんと何度も時間に制限をつけずに語り合いました。
こういうことができたのは、当時の小児外科では固形腫瘍のすべての治療を担当していたからです。
現在は、医療の分業化が進み、小児外科医の役割は手術だけになっています。

元気に退院していった子たちはあまり(歳のせいもあり)克明に覚えていないのですが、亡くなった子たちのことは鮮明に覚えています。
最後の日々や、霊安室でのご両親との会話など昨日のことのように蘇ってきます。
自分で言うのも変ですが、緩和ケアに関して自分としては十分にできたように思えます。一番重要なことは医師としてのコミュニケーション力だったと思います。
聴く力と語る力の両方ですね。

ぼく自身にやがて死期が訪れ、人生の幕を閉じるとき、ぼくにとって一番重要なことは何かな?
自宅で・・とか、病院でとか・・・そういうことではないような気がします。
やはり人との関係性が大事。終末期医療を「仕事」としてやるのではなく、「人生を生き切る手伝い」をしてくれる医師・看護師に出会いたいです。
いい本でした。オススメします。

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