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がんと外科医(阪本 良弘)2020年12月28日 16時30分12秒

がんと外科医
大変いい本でした。
本を貫く1本の柱のようなものはないのですが、章ごとにとても読み応えがありました。
先生の実力と人格が文章ににじみ出ているな、そんな印象を受けました。
ただ、この本は一般の人にはほとんど理解は無理ではないでしょうか?
肝切除の話は外科医でないと分からないと思います。
先生はとても丁寧に説明していますが、肝切除の難しさ、特に短肝静脈の処理の仕方など、経験した人にしか分からないでしょう。
その真髄は、「がまん、がまん」にあるとしています。
そうなんですよね。外科医ってどれだけがまんできるかが大事なんですよね。
そういう所の話はとても良かったと思います。

そして恩師・幕内先生。
そうなんだ、そんなに偉大な先生だったのか。
ええ、もちろん名声は日本中に知れ渡っていましたが、そこまですごい人だとは知りませんでした。
ICG15分値テストを考えた先生だったとは、それは知りませんでした。申し訳ありません。

外科医は24時間働いて、それに矛盾を感じなくなったときに、いい医者になれる・・・先生はそういう金言を述べたそうです。
しかし、現在の働き方改革からすると、こういう考えはもはや通用しません。この新しい時代にどうやって外科医を育てるのか、現代の教授たちは大いに悩んでいることでしょう。

出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記(宮崎 伸治)2020年12月28日 16時58分12秒

出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記(宮崎 伸治)
これは実に面白い本でした。あっという間に読んでしまいました。
宮崎さんは翻訳家にして作家さん。
これまで多数の本を書いてきましたが、あいつぐ出版社とのトラブル→裁判沙汰でイヤ気が差して、この業界から足を洗います。
そこまで意固地にならなくたっていいじゃないか・・・と思える場面もありますが、正義を貫くというのが宮崎さんの生き方なんでしょうね。
裁判に勝っても心が消耗するというのはよく分かります。

ぼくの経験で言えば、出版界というのは昔ながらの習慣をそのままにしているように感じます。
最たるものが契約書です。
出版って口約束なんですよね。本が出版されて数ヶ月すると契約書が送られてくる・・・と、まあ、そんな感じ。
どうせやるべき仕事なのだから、すぐにやってしまえばいいのに。それとも、そうはできない事情があるのかな?
作家が約束を守らないとか??

面白い本であると同時に、宮崎さんの苦悩がズキズキと迫ってきて、重い本でもありました。