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人間に光あれ―差別なき社会をめざして(中山 武敏)2019年06月12日 23時39分42秒

人間に光あれ―差別なき社会をめざして
被差別部落で育った中山さんの自伝です。
大変貧しい環境で育ちますから、高校は定時制、大学は夜学でした。
しかし司法試験に一発で合格し、弁護士となります。
差別と闘う人生には心が揺さぶられます。
部落問題のことだけでなく、天皇制のことまできっちりと書いていることが立派だと思いました。

中山さんの自伝を読んでいると、人生で最も影響を受けたのは父親であることが分かります。
清貧に甘んじて、靴の修理職人としてコツコツと働き、部落解放運動にも力を注いだ生き方は、自分の子ども(中山さん)の中に脈々と生きています。その父と子のつながりが美しい。

個人的な話ですが、ぼくの父親も非常に貧しい環境で育ち、学校もろくに行っていません。小学生の時から働いていたと思います。
父は世の中を肯定的に捉えることができず、重たい荷物を背負ったような生き方でした。
父が死んで2年になりますが、彼は人生にどういう喜びを持っていたのだろうかと最近になってよく考えます。
生きることが決して楽しい人ではなかったように思われます。

そういう父に育てられた自分という存在は、なかなか楽天的に自分を肯定することができません。
多分父親が自分を肯定していなかったからでしょう。
ぼくは当面の間、父との間で対話を続けると思います。

中山さん親子は、部落に育ち、貧しく生きても、心は豊かだったと思います。ぼくはこの自伝を読んで、「すごく苦労して偉いな」と感嘆するより、「ああ、羨ましい」という羨望を覚えます。
人生において、何かを成し遂げようとする課題を持った生き方は、生きて生きがいのある充実した人生ですよね。

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