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団地と移民 課題最先端「空間」の闘い(安田 浩一)2019年06月05日 20時41分10秒

団地と移民 課題最先端「空間」の闘い
これは大変難しい本でした。
難しいというのは文章ではありません。
安田さんは文章が大変うまく、一気に読ませてしまう力があります。
それは本当に高く評価できると思います。
テーマもよく分かります。
多(他)民族の問題は筆者のライフワークですね。それを団地にフォーカスして書き上げた訳です。
しかし、何を描くことで、テーマに応えるか・・・そこは難しかったと思います。
日活ロマンポルノ『団地妻 昼下がりの情事』は、筆者も迷いながら書いたのではないでしょうか?
フランスの話も面白いのですが、全体の構成からすると少し収まりが悪いかもしれません。
ぼくの考えでは、たとえマンネリになっても、くり返し団地の荒廃と高齢化と移民の問題を積み重ねていけば、本に背骨みたいなものがはっきりしていくと思います。
敢えて、そういう形にはしなかったのだと思いますが、やはり1冊の単行本を完成させるのは難しいなと感じました。
いや、しかし団地をテーマにこれだけの文章を書けるだから、やはりそれは安田さんにしかできないかな・・・と感じました。
現在最も力のあるノンフィクション作家の作品です。

澤野工房物語 下駄屋が始めたジャズ・レーベル、大阪・新世界から世界へ(澤野由明)2019年06月05日 23時16分42秒

澤野工房物語 下駄屋が始めたジャズ・レーベル、大阪・新世界から世界へ
ジャズが大好きな下駄屋の澤野さんが、ジャズのレーベルを作って、レコードを輸出したり、輸入したり、スタジオ録音してCDを作って販売したり、コンサートを開いたりしているという自伝です。

超・マニアックな世界で、専門用語も多くて、分からない言葉も多数。僕の知らないジャズ演奏家も山ほど出てきました。

この本は、ディスクユニオンの書籍部が作った本です。だから、普通の出版社が作るような本は最初から目指していない訳です。
内容がマニア好みになるのは必然でしょう。

しかし本作りは非常にしっかりしていました。
カバーデザインとか、文章の読みやすさとか、数多くの写真の使い方(掲載のしかた)とか、メジャーな出版社に負けない作り方でした。
この本の中で、澤野さんは、「回り道」「先送り」することで、成果を逆に大きく育てることの重要性を説いています。
もしかしたら、この本の作り方も同じかもしれませんね。

オススメです。ジャズを聴きたくなりますよ。