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「くもすけ」という差別用語2014年09月20日 14時52分22秒

差別表現に関する本をいくつか読んでいたら「雲助」という言葉にぶつかりました。
この言葉はタクシーの運転手さんを侮蔑する差別表現で、絶対に口にしてはいけない言葉です。
かなり昔の話ですが、漫才師の横山やすしが、運転手さんに「籠かき」「雲助」と暴言を吐いて大きなトラブルになりました。
こういった職業差別はあってはなりません。

ぼくは娘ふたりに「職業に貴賎無し」と常日頃言ってきかせています。
そして同時に言います。「だけど職業の中に一流と二流の人がいる」と。

かつて千葉大学病院の内科に、インターフェロンを使ったウイルス性肝炎の治療で世界的に有名な医者がいました。
その業績が評価されてこの人は東大の教授になりました。
この医者が千葉大在籍中、ぼくの肉親がこの医者に定期的な診療を受けていました。
ところが肉親が不思議なことを言う。
「あの先生は廊下で私に会っても絶対に私のことが分からない」と。
ぼくがなぜかと聞くと、
「だってあの先生は診療中ずっとカルテを見ていて、一度も私の顔を見たことがない」と言うではないですか。
ぼくはそんなことはあり得ないと思いました。
ところが後日、ぼくが肉親の診療に立ち会い、「小児外科の松永です」と自己紹介しても「ああ、そう」と言うだけで、本当に最後まで一度も顔を上げませんでした。

この医者はどういう医学教育を受けたのでしょうか?
まず、患者が「よろしくお願いします。」と挨拶しているのだから、相手の顔を見て挨拶を返すのが最低限の礼儀だと思います。
医者として、そして人として。

医者には視診・問診・触診・聴診・打診と診察技術がありますが、一番重要なテクニックは視診です。
患者の顔を診ないということは視診をサボっている訳です。
この医者は一流でしょうか? 二流でしょうか?

昨日、東京駅付近で作家さんや編集者さんとビールを呑みました。
会が終わって東京駅まで行こうと思って路上に停まっているタクシーに乗り込みました。
すると運転手さんは言います。
「東京駅? 勘弁してくんないかなあ?」
一瞬、運転席にチンピラかごろつきが座っているのかと思いました。
ぼくは楽しかった気分が台無しにされた気持ちで大変不愉快になり、こんなタクシーに乗るものかと降りました。
その後、別のタクシーに乗ったところ、運転手さんが「個人タクシーはああいう感じなんです」と言っていました。

なるほど、生活がかかっているから長距離の客を求めて2時間くらい路上で待っているのですね。
だったらね。
せめて「誠に申し訳ありませんが、私の生活がかかっていますので、近距離の運行はご容赦頂けないでしょうか?」くらいは言えないものでしょうか?
その運転手は、まるでぼくたちを追い払うかのように突き放したのでした。
さて、この人は一流でしょうか?

その個人タクシーのナンバーですが、しっかりとその時は網膜に焼き付けたのですが、一晩経ったら忘れてしまいました。
その後、彼は遠距離の客を見つけたでしょうか?
たくさんお金を儲けて、心も豊かな運転手さんになってくださいね。