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映画「風立ちぬ」を観る2013年07月21日 19時13分03秒

細かい事情は書きませんが、映画「風立ちぬ」を観ました。

宮崎駿さんの映画を、最初から最後まできちんと観たのはこれが初めてです。
従って本作が、宮崎映画の中でどういう位置を占めるのかぼくにはわかりません。

で、映画の感想ですが、アニメーションによる表現力の素晴らしさは見事だと思いました。
「光と影」とか「色彩」とか「動き」とか。
中には実写のフィルムと見分けがつかないくらい綺麗な「絵」がありました。

ですが大変失礼な言い方をすれば、脚本が弱いと思います。
もっと直接的に言えば、話の起伏が弱く、人間を掘り下げる深みも弱かったような。
正直なところ、監督さんの意図がちょっと分かりませんでしたね。

黒澤明監督の晩年の作品はいずれも脚本が弱い。
そんなことを連想しましたが、ぼくは若い頃の宮崎さんの映画を観ていないので、はっきりしたことは言えません。

ま、ほとんどアニメ映画を観た経験の無い僕に語る資格はないのかもしれませんが、黒澤明の映画を語るようなレベルでちょっと感想を書いてみました。
映画館は朝一番の上映でしたが結構、お客さんが入っていました。
ファンの方はぜひ自分の目で鑑賞してください。

人類進化の700万年 (講談社現代新書) 三井 誠2013年07月22日 21時04分37秒

人類進化の700万年
大変面白く読みました。
いわゆる専門家とは言えない新聞記者さんが、よくぞここまで取材して書いたなと思います。
現在論争があって議論が決着して部分に関してはその通りに書いてあって、そういう記述のしかたはとてもレベルが高いと思います。

書き方、語り口も実に読者に優しく、読み物としても楽しさが十二分にありました。
さすが講談社現代新書、傑作だと思います。

本書で一番言いたかったのは現生人類が猿人から原人、旧人、新人と一直線に進化してきたのではない、ということでしょう。
ちょっとカッコつけて言わせてもらえば、ぼくも一応科学者(もどき)なので、このくらいのことは知っていました。

ですがもちろん僕の知らないことも多数書かれており、知的興味が湧いてくるような話が満載でした。
人類史研究などには余り研究予算が付きませんが、医学研究への不明朗な金の流れを知ると、こういう分野にももっと研究費をつぎ込むべきだと思ってしまいます。

五味鳥で呑む2013年07月23日 22時37分06秒

仕事が終わってから富士見町の「五味鳥」で、講談社のエディターさんとビールを呑みました。
仕事の話をした後は、刺身と焼き鳥を堪能しました。

で、ビールで多幸感一杯となってしまい、深みのあるブログはとても書けない状況になって今に至っています。

酒宴の話題の一つは「19歳」です。
19歳のぼくは浪人生でとても暗い青春を送っていました。
思慮も浅かった。
だけど、子どもから大人へ伸びていく時期であり、精神の発達は毎日のようにあった気がします。
現代の世の中にも輝いている「19歳」ってけっこう多いと思うのです。
そういった、これから成熟しようとしている青春期の19歳の人たちにインタビューしていくと、面白い発見がたくさんあるのかと、ぼくは色々と考えてしまいました。
ま、妄想ですね。

そういう訳で、今夜はこの辺で。

進化から見た病気―「ダーウィン医学」のすすめ (ブルーバックス) 栃内 新2013年07月24日 22時31分56秒

進化から見た病気―「ダーウィン医学」のすすめ
とても面白く読みました。
医者ではない学者さんが、ここまで医学・医療を学んで病気について書くのはなかなかすごいと思いました。
(ですが、さすがにぼくが知らないことはほとんど書かれていませんでしたが)

みなさんに読んで頂きたいのは、冒頭の「風邪における発熱」の部分。
ぼくのクリニックを受診している患者さんはみんな知っていると思いますが、ぼくは常々、ここに書かれているような「発熱とはなんぞや?」ということを患者さんに説明しています。

ごく稀に「熱が出た時のために抗生剤を処方してください」などと患者さんから頼まれます。
ぼくは優しく丁寧に、それがナンセンスであることを説明するのですが、患者さんには「優しくない」ように見えるのか、そういった患者さんは、まず、二度とぼくのクリニックを受診しません。

お勧めできる良書ですが、最後の方に出てくるヒトの乳児の咽頭構造の説明は、ちょっとどうかと。
たとえ話をしているのかもしれませんが、解剖学的には不正確でしょう。

教養が無いのは辛い2013年07月25日 21時42分29秒

お医者さんというのは所詮、技術屋さんですから、ごく一部の例外的な先生を除いて教養の深い人などまずいません。
ええ、ぼくも他業種の人と話していると、自分の教養のなさに悲しくなります。

ぼくが現在興味を持っていることの一つに「中国」があります。
かつて中国は先進国だった。
官僚制度を発達させて、試験を突破した優秀な若者を国中から集めて、極めて高度な文化を保ってきました。
世界の歴史で中世にあたる時期においては、文明の先進性としてイスラムと中国が双璧だったと言えるでしょう。

しかし現在の中国はどうでしょうか?
GDPは日本を追い抜いて世界で2位。
軍事力だって底がしれません。人口13.5億人で、地球上の人間の5人に一人は中国人です。
医学界でも中国を警戒する声をけっこう聞きます。
このままでは、基礎医学でも臨床医学でも中国は日本を凌駕するという意見です。

だけど、本当にそうでしょうか?
GDPが高いのは当たり前かもしれません。だって13億人もいるんだから。
単純に言えば、人間一人あたりのGDPは、中国は日本の1/10ということになります。
日本の対中国ODAはおかしいという意見もありますが、やはり中国は貧しい国なのです。

ではなぜ、中国は遅れをとったのか?
ぼくは個人的には阿片戦争の後遺症があまりにも大きいためだと考えていました。
そしていくつかの本を読んでみたのですが、悲しいかな、教養が無いためによく理解できない。
阿片戦争はそれほど大きなファクターではないのかもしれない。
では、なぜ(いわゆる)近代化が遅れたのかというと、どうも中国は多民族国家ということが国のまとまりに影響しているらしい。
ですが、きちんと理解するまでに至りませんでした。

人生の残り時間などあまりありませんから、今後、どういう方面へ知識を伸ばすか本当に難問ですね。
え? 地道に医者をやってろ?
仰る通りかもしれません。

第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞しました2013年07月26日 22時55分46秒

本日、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞しました。

校正作業を迅速に進めて、1日でも早く出版したいと願っています。

ちょっと休息を2013年07月27日 22時49分58秒

昨日の今日で、脳がへろへろになってしまいました。
平常心を保ってブログを書き続けるつもりでしたが、これでは駄文しか書けそうにないので、やめておきます。

多くの方からメールを頂き、感謝の言葉もありません。

花を頂く2013年07月28日 18時29分13秒

花を頂く
拙著「トリソミー」は、1年半にわたって13トリソミーのA君を取材した作品です。
A君の物語りを大河の中心に据えて、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お祖父さま、お祖母さまに話を伺いました。
さらに、6人の医師、障害児をもった3つの家族、赤ちゃんを失った1つの家族、18トリソミーの子どもたちをもった1つの「患者家族の会」にインタビューさせて頂きました。
原稿には、取材したすべての内容を書き込むことはできませんでしたが、皆様に受賞を喜んで頂きました。

受賞が決まった翌日に、A君のご家族が花束を持ってきてくれました。
お父さん、お母さん、お兄ちゃんは大喜びで、その嬉しそうな顔を見て、A君の「生」を記録にとどめることができて本当によかったと、ぼくは感激をあらたにしました。

続々と花を頂く2013年07月29日 21時49分54秒

講談社からの花
午前の診療の途中で、「胡蝶蘭」が届いてびっくりしました。
小学館NF大賞のお祝いです。贈っていただいたのは、開業医の仲間。
今日はデジカメを持っていませんでしたので、明日、撮影してアップします。

そして帰宅してびっくり。
うちのクリニックのお隣の薬局様から「青いバラ」、そして講談社様からも花束。
本当にありがたいです。

そもそも講談社さんは、ぼくが賞をとっても一文の得にもなりません。
ですがこうやって応援してくれる訳ですから、いくら感謝しても感謝しきれません。

今回の原稿がどのように選考会で評価されたのかわかりません。
しかし、取材をしたご家族の人たちの人柄が最高に良かったのは間違いないでしょう。
ですからもし受賞できなければ、それは僕の文章が下手くそだからと予測していました。
曲がりなりもに受賞に至ったのは、文章がまともだったからかもしれません。

「人に話を聞いて、それを文章にする」
つまりインタビューですね。
これは講談社・前「g2」編集長のF氏(いまは週刊現代の編集長)にチャンスを頂き、「g2」編集者のNさんに文章を磨いてもらいました。
このインタビューによって6人の作家さんに話を聞き、インタビューの文章を書くと同時に、「作家の感性」を学ぶことができました。

この歳になって、自分の技術や感性が伸びるとは夢にも思っていませんでしたから、これはもう本当に得難い経験でした。
人との出会い。それは人生の宝物です。
僕は本当に幸運続きの人生だと思います。

今夜は遅くまで、家内と次女が花を愛でていました。
明日はもう一つ花瓶を買って、花をブレンドするそうです。
そういう家族の姿を見ていると、受賞できて本当によかったと、感謝の気持ちがさらに高まってきます。

「青いバラ」2013年07月29日 22時41分59秒

「青いバラ」
OM-D E-M5
パナソニック 20mm, F:1.7