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18トリソミーの食道閉鎖の手術2013年05月30日 21時52分45秒

数年ぶりに日本小児外科学会へ行ってきました。
18トリソミーの食道閉鎖に対して、小児外科医は何をするか?

このテーマについての議論を聞きたくて学会に参加したようなものです。
15年くらい前だったら、18トリソミーの赤ちゃんはまともな治療を受けることは無かった。
半数近くが1カ月以内に亡くなる染色体異常ですから、「延命」行為はむしろタブーと考えられていたんですね。

2000年頃から少しずつ考え方が変わり、今日の討論では7施設中、6施設が手術を行うと発表していました。

しかし、所詮、外科医の学会ですから、「倫理」や「哲学」に関して議論が深まることはなく、どういう術式で手術をするのがいいのかという「技術論」の範囲を超えることはできませんでした。
外科医というのは技術屋さんですから、変な倫理観を持ち出すくらいならば、ご両親の同意の下、黙々と手術に集中するのが正解かもしれませんが。

食道閉鎖の手術というのは、ある一定の技術があればどんな小児外科医でもできますから、手術の方法に大きな変革が起きた訳ではありません。
18トリソミーの食道閉鎖に手術をしようという「考え方」に地殻変動が起きているのだから、これはもしかすると、地味ですが、パラダイムが大きくシフトしようとしているのかもしれません。

「哲学」や「倫理」に踏み込むと、学会の討論として収拾が付かなくなるかもしれません。時間の制約もあるし。
だったら、このテーマは今回限りにせず、来年以降もくり返し討論しても良いと僕は考えます。

開会式直後のメインホールで行われたこのセッション。
これまでの陋習から自由になって、18トリソミーの赤ちゃんにも小児外科医のメスが入っていく領域があると、考えを変えてくれた外科医が増えたと思いたいですね。

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