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シネマ・シネマ・シネマ!2006年07月01日 23時11分18秒

梁石日(ヤン・ソギル)の小説って読んだことあります?
最近では「血と骨」が映画化されて名前がけっこう一般的になったように思えます。
僕は昔からこの人の作品の大ファンです。相当の数の作品を読みました。もちろん、「血と骨」も。で、今回、新たに出版されたのが「シネマ・シネマ・シネマ」です。映画の世界を描いた小説です。どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのかよく分かりませんが、少なくとも後半の話しは、映画「夜を賭けて」のことを書いているのは明らかです。
小説「夜を賭けて」は直木賞の候補になった梁さんの初期の作品です。戦後の大阪が舞台で、朝鮮人部落の『アパッチ族』が工場跡の鉄屑を盗み出しにいくピカレスク・ロマンです。後半はなぜか話しが一転して大村収容所が舞台になってしまいます。このあたりの展開の、ある意味、行き当たりばったりぶりが梁さんらしんですけど、これが直木賞の受賞を逃がした理由だと、僕は個人的には思っています。
映画はこの小説の前半を映像化したもので、山本太郎の演技が見事でした。
今回の小説「シネマ・シネマ・シネマ」では、この映画製作の過程の裏話が紹介されており、とても面白く読んだのですが、小説の作品の出来としてはどうなんでしょう?
何か小説というよりエッセイを読んでいるようでもありました。で、ラストシーンはいつものように、唐突な終わり方をします。
いつも思うんですが、梁さんは書いていて最後近くになると飽きちゃうんじゃないかと。。。
1作読むとまた1作、読みたくなります。ジャズが最高の癒しとすると、読書は最高の楽しみですね。

嫌いだから嫌2006年07月02日 21時06分18秒

健診をやっていると、子どもの偏食についてよく聞かれます。親にとっては悩みの種で、子育てにいらだちを覚える大きな原因になります。
しかし、残念ながら偏食を解決する妙案は無く、また当然、これを治す薬なんてありません。出来ることと言えば、食卓に多くの種類の食材を並べて親が美味しそうに食べることを子どもに見せ続けることです。一般的に、年齢とともに食べられない食事の種類は減っていくようです。小学生などに、嫌いな食べ物を食べることを強制することは、子どもの心に傷を植え付けることだけにしかなりません。

行って来ました。菜の花会。2006年07月03日 21時46分44秒

昨日は年に一度の菜の花会でした。千葉県のがんの子どもの(親たちの)会です。僕は設立のときから、関わっています。講演も2回、しました。
この日、勉強会に招かれたのは、元国立成育医療センター・血液腫瘍科の恒松先生でした。この業界では大変有名な大御所です。この3月に定年退官したんですね。
先生の講演は小児がん患者の二次がんの問題です。一般の患者さん相手にはちょっと話しが難しかったでしょうか?
しかし、です。この菜の花会も設立10年。ママたちも小児がんの卒業生たちもたくましくなりました。講演の最後には、学会並みのハイレベルな質問が次から次に飛び交っていました。
で、結論は何かというと、誰かがこの子たちを長期に診て行かなければいけないということです。あ、では、小児外科の方は良いじゃありませんか。僕があと20年、診ましょう。さて、小児内科の白血病のお子さんたちはどうしましょう?
僕は白血病という病気のバイオロジーは良く知りませんが、化学療法や放射線療法、造血幹細胞移植のことならよく分かります。
もちろん、小児科に立派な先生たちが何人もいますが、さらに、こんな僕でよければ、僕を利用して下さい。毎月の第三水曜日には大学で1人で外来をやっています。受付をしなくても結構ですから、まず、ぶらっと訪ねて来てください。時間はたっぷりあります。差し出がましいでしょうか?
この日の勉強会で最後にみんなが驚いたことは、恒松先生の年齢でした。ええ〜、わ、若く見える〜、という反応でした。
菜の花会も参加メンバーの顔ぶれも、この10年のあいだにずいぶんと変わりました。そのこと自体は良いのですが、僕が敢えて課題を一つあげるとすると、、、子どもを失ってしまった親はどこへ行けば良いのでしょうか?この問題は、僕自身の宿題でもありますが、菜の花会としても何か力になることが出来れば良いですね。でも、答えを言ってしまうと、子どもを失った親からすると、『将来の二次がん』の心配なんて全然、関係ないことなんですよね。。。
こんなに近くて遠い関係。本当に難しいですよね。でも、簡単に諦めないで、頑張って行きたいです。やることがいっぱいだ〜。

ママに泣かれました。1日に2度も。2006年07月04日 22時42分53秒

おおいにドクターショッピングをして良い医者を見つけてください、と書いたのはだいぶ前です。
今日は、ママの口からドクターショッピングなる言葉が出ました。
お子さんはアトピー性皮膚炎があり食物でのアナフィラキシーを2度、起こしているそうです。え?2度?そうなんです。1度目は皮膚科に通っていて、アナフィラキシーの後も自由に食べて良いと言われたそうです。おかしいなと思いつつ、、、医者の言葉を信じて制限せず離乳食を進めたところ、、2度目のアナフィラキシーが。今度は小児科に行ったそうですが、症状を説明したのに外来で1時間待たされ、診察後には、次回からは救急車を呼ぶように言われたそうです。で、今は、ある小児クリニックで血液検査だけをして、ある小児クリニックで投薬を受けていると。。。ママは、「ドクターショッピングみたいで申し訳ないのですが、、、」と、僕のクリニックですべてを総合的に診て下さいと涙ながらに言ってきました。もちろんです。引き受けましょう。僕に足りない部分があれば千葉市都町の行列のできる小児クリニックの先生にすぐに相談しちゃいましょう。大学病院の小児科・下条先生だってなんでもすぐに教えてくれます。
で、今日の夕方。
あれ?また、さっきのママが来ました。今度はベビーカーに赤ちゃんが。この子もいくつかのクリニックを複数、受診してます。
僕には一目見ただけで、いや診る前から、、、問診票を見ただけでこの子の病態が手に取るように分かります。だれかが、ちゃんと総合的にこの赤ちゃんを診なければなりません。おかあさん、ごめんね。突然で驚くかもしれないけど、この子は呼吸に問題を抱えています。入院して精密検査を受けましょう。
ママは午前に続いてもう一度、涙を浮かべていました。でもね、ひとつひとつハードルを越えて行きましょう。ゴールは、今は見えなくても、最後には必ずあるものです。
正解でしたね、ドクターショッピング。どうぞ、医者を上手に使って下さい。

今日はレセプト2006年07月05日 21時09分40秒

今日は2回目のレセプトでした。
複雑ですね。やることがいっぱいあります。
こういうことも一つ一つおぼえて行って、クリニックとして成長して行かなければなりません。
さーて、明日からも頑張るぞ〜。

お役に立てたでしょうか?2006年07月06日 21時20分27秒

患者さんの数の動向が読めません。
季節もよくなり小児クリニックはこれからどんどん暇になると思っていたのですが、今日は開院以来、最高の来院患者数でした。疾患は本当に様々です。普通感冒のお子さんもいれば、小児外科ならではの患者さんもいました。千葉大学病院にも千葉県こども病院にも、、その他の大型病院にも電話をして患者さんを紹介させて頂きました。小児外科医ならではのジャッジメントもあったと自分では思っています。
少しは患者さんのお役に立てたでしょうか?
そんな外来診療を行なっていたら、夕方、九州のある大学病院から電話がかかって来ました。患者さんの相談です。再発した肝芽腫の治療方針に関するものです。この患者さんは、たしか僕が大学時代に山口に講演へ行ったときに、会場で相談を受けた子どもだと思います。肝移植に関する説明をして、僕が大学時代に書いた最後の論文をその先生に紹介させて頂きました。
http://www.mtng-clinic.jp/saigonoronnbunn.html
大学を去ったあと、千葉県内の小児がんの子どものお役には立てるけど、全国規模ではもう無理と思っていましたが、こうやってクリニックにまで電話をかけて来てくれるなんて、、正直、嬉しいです。
このお子さんのお役に立てたでしょうか?

カインド・オブ・ブルーにはまってます!2006年07月07日 21時45分24秒

ジャズ史上、最も売れた(売れている)アルバムは、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー/Kind of Blue』と言われています。初心者は真っ先にこのアルバムを買うのだと思いますが、なぜか、僕はこのアルバムをなかなか購入しませんでした。で、ハードバップからフリージャズまで一通り聴いたあとで、このアルバムを買いました。
ん?全然、良いと思いませんでした。で、しばらく放置。ところが時間がたってからだんだん聴きたくなってきて、最近では完全にはまっています。何故でしょう?なんとも不思議なアルバムですね。でも、アルバム自体は超メジャーなので、僕の方が不思議なのでしょう。本当に良く出来た作品だと思います。
初心者が必ず聴くアルバムには、他にソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』やビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』があります。ところが不思議な事に、『サキソフォン・コロッサス』は、初心者にしか良いアルバムと思えません。かなりの枚数を聴き込んだ聴き手からすると、とても幼稚なアルバムに聴こえてしまうのです。
で、一方の『ワルツ・フォー・デビー』は、何年たっても、何度聴き込んでも良い!初心者からベテランまでが聴き惚れてしまうのです。
え?それって僕だけの意見?
あ、いやですね〜。ジャズ好きの人って、みんな自分が一番の聴き手だと思っているんですって!僕のお師匠の照井先生が言ってました!

「コストもれちゃいけませんか?」「いけません」2006年07月08日 22時28分27秒

千葉大病院のホームページの整形外科を見るとM教授のコラムが載っています。M教授は僕と同じ町内に住んでおり、授業も受けたし、その気さくに見える性格もあって昔から親近感を覚えています。
で、そのコラム『教授のつぶやき』が面白いので時々チェックしてます。
http://www.chiba-orthopaedics.com/top.html
6月28日のコラムは、『「お金儲けしちゃいけませんか?」「いけません」』というタイトルです。医療施設は営利を目的に開設してはいけないという法律の紹介がその内容でした。不思議な事に、このコラムの中には開業医はベンツに乗っているとか、海外旅行に行ってるとか、一般の方が読むとまるで開業医が営利を追求していると誤解されかねないことが書かれています(実際には、正確に読めばそんなことは書かれてませんが)。
M教授の収入が、教授と同世代の開業医の先生より低いのは、これはもうあったり前の話しです。
開業医は朝から晩まで、毎日毎日、医療行為を行なっているのです。それに対して対価を求めるのもまた当たり前です。
しかし、大学の先生には違う役割があり、「管理・運営」や「教育」や「研究」や「学会活動」をします。医療行為をやってる時間なんて全体の10%くらいでしょう。国際学会ともなると1週間くらい大学を留守にします。僕自身がそうでしたから、良く分かります。でも、開業医がそんなことをすれば、クリニックは経営がたち行かなくなります。
おまけに大学病院は殿様商売です。以前にこのブログに書きましたが、千葉大病院の医師は医療コストの勉強などしたことがありませんから、患者さんに「正規の料金」を請求することができません。コストもれですね。これは患者さんからするとラッキー、、、などと言う話しではなく、ちゃんと医療費を回収しないという「不作為」は、公務員に準じる身分としては一種の「背任」なのではないでしょうか?
開業医は営利を目的にしてる訳ではありませんが、「正規の収入」を得るための努力を本当に真面目にしています。夜遅くに医師会の勉強会にでかけて講義をきちんと聞いてるのです。大学の先生たちに、開業医は楽して儲けてるみたいに思われるのは大変心外です。
大きな病院の先生たちは、「満床」以外の理由で開業医からの入院依頼を断ったりします。しかし、僕たち開業医は何十人も待ち合い室に患者さんを待たせている状態で、その間に一生懸命、平身低頭して電話をかけまくる訳です。
一線の医療はこうやって行なわれているという現実を、大学の教授先生たちにも学んで欲しいですね。

しかし、早いです。一週間。2006年07月09日 22時15分17秒

大学病院時代と異なり、土曜日が仕事のせいでしょうか、本当に時間の経過が早く感じられます。もう、明日から仕事です。なんだか休んだ気がしませんし、このまま働き続けて大丈夫??などと少し心配になります。
冬になると小児クリニックは、今の季節の2倍以上の患者さんがお見えになるとも聞きます。。。
とにかく、毎日毎日、学ばなくてはいけないこと、勉強しなくてはならないことが山ほどあります。時間がいくらあっても足りません。
え?ブログ書いてる暇があるじゃないか?
。。。。おっしゃる通りでした。明日から元気に働こう!!

筆舌に尽くしがたい。。。2006年07月10日 21時04分18秒

医事アナリストという方からコメントをいただいてしまいました。
なるほどー、という感じです。
つまりは開業医か勤務医かの問題ではなく、その医者の倫理観が患者さんを幸せにするか不幸にするかを決めるということでしょう。
おっしゃる通りだと思います。
今日はちょっと、深く考え込んでしまうような体験をしました。
ある患者さんが、「重症」なんですね。ちなみに、この病気は「小児外科」ではありません。ところが、その子は自宅にいるんです。何故だと思います?答えは、、、大病院の専門家が、その子を入院させないんです。でも、それって明らかにおかしな判断で、素人が見たって「重症」なんです。え?なぜ、そう言えるかって?だってその子は、医療機関を受診するのに、自宅から救急車を使っているんです。もちろん、自家用車では搬送できない状態なんです。
僕は、一昨日のブログに書いたように、なんとか入院できるようにじたばたする訳です。今日は思いあまって千葉大小児外科の幸地先生・齋藤先生に電話して入院依頼をしようかと思ってしまいました。で、急転直下。ある病院に入院が決まりました。
急転直下になった理由は書きません。いや、書けません。
しかし、、、僕は一言、言いたい。医者は患者を診て、なんぼです。開業医だろうが、千葉県を代表する大病院の勤務医だろうが、ちゃんと患者を診なさい。出来る限りのことをすれば、それなりの結果が必ずあるはずです。
この患者さん、、、早く良くなって下さい。それだけを強く祈念します。