鶏まみれ (繁延あづさ) ― 2026年09月08日 21時45分47秒

鶏まみれ (繁延あづさ)
今年度の新潮ドキュメント賞受賞作です。
「鶏まみれ」というタイトルが秀逸で、筆者は食鳥処理場で働き、そして自宅で養鶏を営みます。
この2つの物語が並行して進むというユニークな仕立てになっています。
食鳥処理場の話はルポルタージュのような趣があり、自宅での養鶏は個人史といった感じ。
いずれにしても筆者は鳥にまみれます。

経験というものは誰にでもできますが、その経験に対して思索を深めることは誰にでもできることではありません。
そこで見て聞いて感じたことを、ここまで豊穣に、あるいは過剰に語ることができるのは筆者の並外れた才能でしょう。

この本が優れているのは内容だけではなく、その文章です。
体言止めの使い方がとても上手く、また、動詞止めもうまい。
「〜〜と脚力を確認しながら。」とか、「まずは試みとして。」とかの表現は、なかなか書けるものではないと感心しました。

400ページを超える大著で、しっかりと読ませていただきました。
満足です。ありがとうございました。

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