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仲野教授の この座右の銘が効きまっせ!(仲野 徹)2024年03月13日 21時44分51秒

仲野教授の この座右の銘が効きまっせ!(仲野 徹)
我が母校・千葉大医学部には世界で一番有名な外科医がいました。
第二外科の中山恒明先生です。
先生は、食道がんの権威として、また胃切除を短時間で終了させるレーゲル(術式)を確立したことで名を馳せました。
山崎豊子さんの『白い巨塔』の財前五郎のモデルは中山先生と噂されています。

中山先生は、「始めることが成功の半分。途中で諦めないことが完全な成功」という言葉を残しました。
千葉医学には3つの教えがありますが、このうちの1つが、中山先生の言葉からきた「Begin. Continue」です。

でもなんだか、千葉大のえらい先生たちは、この言葉を「まず始めよ」みたいに解釈するのですが、そうかな?
始めれば半分成功なのだから、始めるまでには相当の準備やアイデアが必要なのではないでしょうか?
とりあえず始めちゃえ! というノリではないと思います。

前振りが長くなりましたが、仲野先生のこの本は、アイデアの勝利だと思います。
座右の銘を俎上に上げて、メッタ斬りにするというのは、今までありそうでまったくなかったアイデアでしょう。
そもそも座右の銘とは、言葉は短くてもその来歴は長いわけです。意味も深い。
だからそれを論じていくと、大変語りがいがあるのです。

先生の切り口は、例によってコテコテの大阪弁で、めちゃおもろい。
一人ノリツッコミのテクニックは最高でした。
「急がば回れ」は、その場でクルクル回ることではない・・・って当たり前ですやん! 大笑いしました。
でも単におもしろいだけではなく、先生の教養が湧くように出てくるんですよね。どれだけ知識・教養があるんでしょうか?
たくさん本を読んでいることもよく分かります。
こういう作品はぼくには絶対に書けません。

そしてときどき、「教授の顔」も出てきます。
研究の指導をしているときの話です。行き詰まったときのために、プラン B を持っておきなさいとか。
こういうのをみなさんはどう読むんでしょうか?
ぼくは非常に興味深く読みました。研究に行き詰まった経験があるので。

先生は途中でネタ切れになりそうになりながらも、諦めることなく見事に完走しています。
作品として大成功でしたね。「完全な成功」です。
大変楽しい時間を過ごしました。みなさんにおススメします。
3月20日、ミシマ社から発売です。

ところでこの本は、小型で分厚くて、ちょっと見ない形をしています。
思わずミシマ社の編集者さんにメールで「この本のサイズは何という形ですか?」と聞いてしまいました。
答えは、文庫本サイズ。ですよねえ。メールを書いた直後に気づきました。
でも、コロコロした本でカワイイんです。カバーの朱色もキレイだし。
タイトルもいいですよね。