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『ぼくらは大天幕を見ていた』稲泉連2022年08月07日 20時34分40秒

『ぼくらは大天幕を見ていた』稲泉連
「群像」9月号掲載の本作品を読みました。
稲泉さんは言わずと知れた大宅賞作家。それも史上最年少受賞をしたノンフィクションライターです。
ぼくは2回、インタビューを受けたことがあります。
その経験があるので、稲泉さんが、インタビュー記事をどれだけきれいにまとめることができるか、十分に知っているつもりです。

キグレサーカス。稲泉さんのお母様はそこで料理の仕事をしていました。したがって稲泉さんも幼少の頃、サーカスの風景を覚えているそうです。
そして当時、サーカスを披露していた姐さんと偶然連絡がとれ、40年近く経ってから、その女性に会いにいきます。
そしてインタビューをしてできた作品がこれです。
つまり、サーカスを原風景として、サーカスという世界に生きた(それだけではない)女性の半生を描いたノンフィクションです。

文章はいつもように静謐で穏やかです。淡々と書きながら、同時にリリカルで余韻を含みます。
サーカスの内側というのは私たちには未知の世界ですから、ひたすら興味深く読みました。

サーカスの世界は家族のようなものです。しかし本当の家族ではありません。
「ここにいていいよ」という集合体であって、去る者は追わない擬似家族です。そういう人間の結びつきが、いいのか、悪いのか、それはその人の価値観によるのだなと感じました。

またこの世界は自由であるけれど、同時に閉鎖された世界でもあり、サーカスの子として生まれてくると、他の世界を知らない不自由な世界であることも書かれていました。

インタビューに答えてくれた女性は、サーカスで生きたことを肯定的に捉えていましたが、同時にそれが人生の全てではないことも語っていたようでした。

それにしても稲泉さんの筆はいいですね。沁みます。
みなさんも読んでみてください。インタビュー記事とはこうやって書くという見本のような作品です。おススメします。