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大東亜共栄圏-帝国日本のアジア支配構想(安達 宏昭)2022年08月03日 21時43分40秒

大東亜共栄圏-帝国日本のアジア支配構想
これは読み応え十二分の1冊でした。
大東亜共栄圏。誰もが知っている言葉でしょう。
ぼくは、この言葉を、帝国日本がアジア諸国を欧米から解放するために掲げた理念と(建前上ですが)理解していました。
実際にはそういうことではないようです。

日本は英米からエネルギー資源を輸入して資本主義国家を作っていきました。ところが、こともあろうに、その英米と戦争をしたのです。
では、経済的にどうすればいいのか?
それが大東亜共栄圏です。東南アジアを日本の支配下において、エネルギー資源の経済的自給圏を作ろうと計画したのです。

しかしその構想は、明らかな準備不足、場当たり的で、泥縄式で、たちまち頓挫します。
大戦末期には、東南アジアの国々はどんどん独立して日本から離れていきます。
エネルギーも資源もなければ、日本はアメリカとの戦争に勝てるはずがありません。
失敗の本質は、開戦したことにあったのではないでしょうか?

いや、しかし、学者ってすごいですね。こういう本が書けるのだから。
理系の科学者と Method が根本的に違うなと思いました。
読んでみてください。おススメします。

『ぼくらは大天幕を見ていた』稲泉連2022年08月07日 20時34分40秒

『ぼくらは大天幕を見ていた』稲泉連
「群像」9月号掲載の本作品を読みました。
稲泉さんは言わずと知れた大宅賞作家。それも史上最年少受賞をしたノンフィクションライターです。
ぼくは2回、インタビューを受けたことがあります。
その経験があるので、稲泉さんが、インタビュー記事をどれだけきれいにまとめることができるか、十分に知っているつもりです。

キグレサーカス。稲泉さんのお母様はそこで料理の仕事をしていました。したがって稲泉さんも幼少の頃、サーカスの風景を覚えているそうです。
そして当時、サーカスを披露していた姐さんと偶然連絡がとれ、40年近く経ってから、その女性に会いにいきます。
そしてインタビューをしてできた作品がこれです。
つまり、サーカスを原風景として、サーカスという世界に生きた(それだけではない)女性の半生を描いたノンフィクションです。

文章はいつもように静謐で穏やかです。淡々と書きながら、同時にリリカルで余韻を含みます。
サーカスの内側というのは私たちには未知の世界ですから、ひたすら興味深く読みました。

サーカスの世界は家族のようなものです。しかし本当の家族ではありません。
「ここにいていいよ」という集合体であって、去る者は追わない擬似家族です。そういう人間の結びつきが、いいのか、悪いのか、それはその人の価値観によるのだなと感じました。

またこの世界は自由であるけれど、同時に閉鎖された世界でもあり、サーカスの子として生まれてくると、他の世界を知らない不自由な世界であることも書かれていました。

インタビューに答えてくれた女性は、サーカスで生きたことを肯定的に捉えていましたが、同時にそれが人生の全てではないことも語っていたようでした。

それにしても稲泉さんの筆はいいですね。沁みます。
みなさんも読んでみてください。インタビュー記事とはこうやって書くという見本のような作品です。おススメします。

文藝春秋9月号『安倍元首相暗殺と統一教会』(森健+取材班)2022年08月10日 21時52分17秒

文藝春秋9月号『安倍元首相暗殺と統一教会』(森健+取材班)
読み応え十分でした。

統一教会は自民党議員の中に深く食い込んでいますが、その中心にいたのが安倍元首相。
恨みを買って暗殺されたわけです。
安倍氏が統一教会に接近したのは、民主党に政権を取られたから。どんなことをしても票が欲しかったのですね。
統一教会は反日思想を持った宗教。安倍氏と本来は正反対の立場にいます。それが「雨天の友」となり、暗殺につながるのですから、本当に皮肉と言えます。

森さん、身辺気をつけてくださいね。

ドリフターズとその時代(笹山 敬輔)2022年08月13日 15時01分54秒

ドリフターズとその時代
新書なので、軽い気持ちで読み始めました。
しかし内容はなかなかの重量級でした。いかりや長介の生い立ちから話は始まります。
つまり本格的な評伝となっていました。

ぼくは小学生の頃までは「8時だよ、全員集合」を見ていましたが、さすがにその後のことは知りません。
中学生のころ、志村けんという名前は知っていましたが、彼の喜劇王としての全盛期はリアルタイムで見ていません。
そういう意味では、あまりドリフに強い思い入れがないので、深い興味でこの本を読み進めたというわけではありませんでした。

この本が一気に面白くなるのは、志村けんの擡頭とドリフの衰退のあたりからです。
いかりや長介はドリフを率いてトップの位置にいました。志村けんはおそらくそれが耐えられなくて、二人の間には大きな溝が生まれ、一時は共演NGになります。

なぜでしょう。それは二人が似ていたからです。いかりや長介には、自分が目指す喜劇の理想があり、実際に自分でそれを作っていた。ドリフはチームワークで成り立っていたとはいえ、彼は単なるリーダーではなく王様だったのです。
そして志村けんも同じでした。理想の喜劇があり、その喜劇を自分で発案し、シナリオを作り、演出していたのです。彼も独立すると、スタッフや共演者に対して王様になります。

そういう点で加藤茶は、天才性はあったものの、自分が王様になりたいという発想はなかったようです。

こうして完全に袂を分ついかりや長介と志村けんですが、時間が二人の距離を縮めます。
志村けんは王になることによって、そのポジションはいかに辛く、いかりや長介の苦労を思い知ったのでしょう。
最後まで、ドタバタ喜劇にこだわり、人を笑わせることにこだわった二人は同じ夢を見ていたのかもしれません。

この本の終盤は一気読みの面白さでした。また、笑いをどこまでも追い求める芸人の執念みたいなものに感動すら覚えました。
大変読み応えがある1作でした。おススメします。
しかし・・・なんでこの本が単行本で出なかったのでしょう?

映画『朝が来る』2022年08月16日 17時11分23秒

映画『朝が来る』
河瀬直美監督の『朝が来る』をアマゾン・プライムで観ました。
2時間20分の映画を一気に観たので、全体の感想としては面白いという評価でいいと思います。
ただ、もう一つテーマが分かりにくかったかな。

主人公の夫婦は、特別養子縁組で赤ちゃんを迎えいれます。
そして子どもが6歳になったとき、産みの母親から「子どもを返してほしい」と電話がかかってきます。
話の出だしとしては最高に引き付けられるのですが、これは何を描きたかったのかなと、ちょっと疑問に思いました。

映画の手法としては、風景描写が非常に多く、詩的なシーンがたくさん出てくるのですが、少し演出過多かなと感じました。
このドラマは、育ての親の視点、産みの親の視点の両方から描かれていますが、後者をもっと強く描いてもよかったように思います。

ラストシーンは設定がちょっと唐突ではないでしょうか。
そんな感想を抱きました。
登場する役者さんの一人一人がいい演技をしていたと思います。
観てよかったです。

文にあたる(牟田 都子)2022年08月16日 17時54分00秒

文にあたる
校閲のプロの方によるエッセイです。
楽しく読みました。
そうか、校閲さんは、こんなに誤植を恐れているのか。
ぼくの感覚では、誤植は筆者の責任であって、校閲さんのせいと思ったことは一度もありません。
校閲さんにはいつも感謝しています。

ぼくも14年間に14冊の本を書きましたので、いろいろな出版社と付き合ってきました。
講談社のように会社の中に校閲部がある出版社もあるし、社外に発注している出版社もあります。
その度にどこまで正確を期して校正してるかは、その人によってかなり違っているなという印象を受けます。

誤字脱字くらいしか直さない人もいますし、書かれた内容が事実がどうか精査してくれる人もいます。
書き手として一番やってはいけないことは、校閲さんに修正を任せることを前提に、甘い文章を書くことです。
校閲さんの手を煩わせない・・・というくらいの気持ちで文章を書きたいものです。
ま、実際は「赤」(実際は黒鉛筆)で一杯になるのですが。

おもしろかったです。本を作ることに興味がある人には、ぜひオススメします。

うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました(古泉智浩)2022年08月17日 17時22分28秒

うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました
エッセイだと思って購入したら漫画でした。
絵柄に独特の味合いがあって、とてもいい作品でした。
養育里親が、里子を特別養子縁組して実子として育てる育児漫画です。
「うーくん」が可愛すぎて、たまらんという感じでした。
イヤイヤ期と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、ちょっと激しいお子さんでしたね。
うちの子どもたちは、はるかに育てやすかったように思いますが、どうでしょうか。
特別養子縁組に関してもよく分かるので、ためになる作品でもありました。
おススメします。

産めないけれど育てたい。 不妊からの特別養子縁組へ2022年08月20日 15時32分22秒

産めないけれど育てたい。 不妊からの特別養子縁組へ
特別養子縁組は、不妊のカップルのためにある制度ではありませんが、かなりの頻度でそうなっています。
本来は、育ててくれる人(親)がいない子どものための制度ですが、現実的には、そうとばかりは言えません。
先日、NHKで放送されていたドキュメントでは、ダウン症の赤ちゃんを養子にする親が描かれていました。
これはまさに、子どものための特別養子縁組という感じがします。
もちろん、不妊治療の果てに養子をとるということも、全然問題はないし、ある意味人として自然だと思います。
あらゆる子どもが幸せになってくれればいいなと思います。

凜として灯る(荒井 裕樹)2022年08月21日 23時17分14秒

凜として灯る
おもしろくて、あっという間に読んでしまいました。
書評はこれからじっくり書きます。
女性解放運動・障害者運動に少しでも関心のある人には、超オススメです。

人生はそれでも続く・読売新聞社会部「あれから」取材班2022年08月23日 22時32分17秒

人生はそれでも続く (新潮新書) 新書 – 2022/8/18
読売新聞の人物企画「あれから」を書籍化した1冊です。
当時話題になったあの人は、今どうしているのか?
そういった人間ドラマを綴った作品です。
読売新聞がそういう企画を立てたというのは、何か意外な感じがします。
この本では、22人のその後が描かれています。

一つの物語が10ページ弱ですから、サクサクと読めるのですが、しっかりと読んでみると実に取材が深いことが分かります。
これは一人のライターが書くのは無理。
新聞社の社会部の記者たちが書いたからこそ成り立ったのでしょう。

どの話も興味深かったのですが、ぼくの興味で三つ取り上げてみます。
まずは、千葉大の飛び級入学。大きなニュースになりましたね。
最初の合格者は今どうしているのか。
たぶん、千葉大は天才に早期教育をして大天才に育てたかったのだと思うんですよね。
しかしそうはならなかった。彼は就職にすら苦労します。
この制度はどうなんでしょうか。生きるということは難しいですね。千葉大も最後まで面倒をみればいいのに。

そして、プロレスラー三沢光晴にバックドロップを放って死なせてしまったレスラー。
受け身の天才と言われた三沢がなぜ亡くなったのでしょうか。それは本書を読んでも分かりませんでしたが(そのことを書きかったわけではない)、死なせたレスラーの苦悩は深く描かれていました。
生前に三沢さんが遺したという手紙(言葉)が泣けますよね。

最後に赤ちゃんポスト。初年度に預けられた子の中には、3歳の幼児がいたんですよね。
その子は、里親に引き取られ、その後に養子縁組。新しい人生が待っていました。現在はもう大学生です。
実の母親は、彼を捨てたんでしょうか? その疑問も解消されます。
親子ってなんだろうかと、ぼくはいつも考えます。

「あれから」は企画の勝利であり、また同時に新聞記者の取材の深さの勝利でもあります。
大変楽しく読みました。
おススメします。ぜひ、読んでみてください。