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ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み(山崎 章郎)2022年07月06日 16時57分23秒

ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み (新潮選書)
母校の大先輩、山崎章郎先生の最新作です。
先生は1947年生まれですから、ぼくの16歳上、今年76歳です。
緩和ケアの第一人者としてとても高名だと思います。みなさんもご存知でしょう。
その山崎先生が大腸癌になりました。リンパ節転移があり、ステージ3の状態でした。従って術後に抗がん剤を使用します。
予測はされていましが、薬の副作用は生活の質を損ねました。そして抗がん剤の効果なく、肺に多発転移します。

ここで、先生は考えます。標準治療を選択するなら、新しい抗がん剤を点滴で投与します。この治療を受ければ延命が可能です。
しかし、完治するわけではない。
延命の日々は辛い日々である可能性が高い。
であれば、標準治療を断って、代替療法・民間療法を受けてみるのはどうか?
この発想から出発して、
ビタミンD
EPA(エイコサペンタエン酸)
糖質制限ケトン食
という食事療法を開始、
クエン酸療法を追加、
メトホルミン(糖尿病治療薬)内服も追加、
丸山ワクチンも試し、
抗がん剤の少量投与(いわゆる、がんの休眠療法)も受けます。

その結果、両肺転移巣は進行が止まり、抗がん剤治療と遜色ない結果を得ることができます。
先生はこうした「がん共存療法」を標準化しようと、専門外来を立ち上げて臨床試験に入る準備をしています。

ぼくも、昨年に書いた『ぼくとがんの7年』(医学書院)で述べたように、「痛いのは絶対にヤダ」と思っています。
がんが全身に広がったら抗がん剤治療は受けないと思います。
自分の年齢にもよりますが、こうした「がん共存療法」すら受けないかもしれません。
ぼくは現在60歳で、72歳くらいまでは生きたいと思っていますが、仕事を全うし、書きたい本を書き切ったら、人生はそれで終わりでいいと思っています。

ぼくにもささやかなプライドがありますので、老醜をさらしたくない。
とくに自分の子どもにそういう姿を見せたくないと願っています。
80歳まで、90歳まで生きたい、できれば100歳まで・・・そういう人がいることは事実だし、ぼくはそういう人のことを尊重したいと思っています。
でも、ぼく自身はそうではありません。抗がん剤治療は受けないと思うし、延命は不要です。
最期は自宅で・・・とも思いますが、子どもに最期を見られたくないという想いもあり、病院にパソコンを持ち込み、ネットサーフィンをしたり、キンドルで本を読みながら、最期を迎える・・・それでいいかなと考えたりします。
ぼくは元々大した人間ではないので、長く生きる価値は特にないので、静かに幕を下ろしたいなという気持ちです。

みなさんもこの本を読んで、人生の最終段階について考えてみるのもいいのではないでしょうか。おススメします。