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ルポ 児童相談所(大久保真紀)2022年07月04日 21時36分30秒

ルポ 児童相談所 (朝日新書)
児童相談所(児相)の仕事は過酷です。
どれだけ過酷かを描いたのが本書です。
虐待する親は、100%子どもに憎しみを抱いているわけではなく、複雑な愛憎を持っています。
子どもが児相に保護されて、ああ、すっきりしたという親はまずいません。
必ず子どもを取り返そうとします。すると、親と児相の間で修羅場が展開されるわけです。

医者も児相に通告することがあります。
ぼくの経験では、明らかな医療ネグレクトで子どもを守る必要があったケース、真相は藪の中で虐待をしていたか最後まで分からなかったケース、医者の通告に非があり親はネグレクトしていなかったケースなどがあります。
いずれのケースでも、医師と家族の関係は悪くなりますから、虐待通告というのは医師にとって大変気が重いことです。

しかし疑いがあれば通告することが国民の義務ですから、この問題から逃げてはいけないでしょう。
勇気みたいなものが必要だと思います。

児相には「なぜ子どもを守れなかったのか」と批判や非難が向けられることがあります。
そうした批判も一理あると思いますが、まずその前に、リアルな児相の姿を知ることが重要ではないでしょうか。
勉強になる1冊ですので、おススメします。