大変重い1冊でした。
佐藤泰志さんという作家をぼくは知りませんでしたが、芥川賞や三島賞に何度もノミネートされながら無冠のまま文学に取り憑かれ、やがて書けなくなり死を選ぶ人生を歩みます。
筆者の中澤さんは、おそらくこの作家に身も心も預けたのでしょう。そして書いたのがこの作品です。膨大な資料と取材に基づき、佐藤泰志さんの人生を辿っていきます。
ここまで書き込んだ評伝というのは、あまり例がないのではないでしょうか。
本を書くには、その対象物(人)に対する思い入れがないと書ききれないと、ぼくはある編集者から教えてもらったことがあります。そう言う意味では、本当に強い思い入れを中澤さんは持っていたのでしょう。
600ページを超える大著で、簡単には読みきれませんが、読後に胸の中にどっしりと、文学に対する無垢と修羅の凄みが残ります。
みなさんも読んでみてはいかがでしょうか。おススメします。
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