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さよなら、野口健 (小林 元喜)2022年05月07日 21時21分16秒

さよなら、野口健
これは強烈に面白かったです。
筆者はアルピニストの野口健の元マネージャー。
野口さんの実像を赤裸々に描きます。
文章もたいへんうまいし、取材も十分にできていて、読みだすと止まらないという感じです。

では、この本は野口健の評伝かというと、そうではない。
野口さんと抜き差しならない人間関係になってしまい、二人して苦悶の渦に巻き込まれる自分語りでもあるのです。

この本は、開高健賞の候補作だったそうです。書籍化にあたってそれなりに筆を入れたと思いますが、どういう構成に仕上げるのかはそうとう迷ったのではないでしょうか。
そういう苦闘の過程が本の流れににじみ出ています。
ただ、それが悪いという意味ではありません。
でも、出版社はこの本の帯の宣伝文句をどうするかはけっこう迷ったのではと思います。

最終的に大賞は受賞できなかったようですが、ぼくには十分大賞に値する一級品の作品だと感じます。
とてもいい作品ですので、みなさんにおススメします。