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超えるべき壁 横隔膜ヘルニア2022年02月17日 10時35分17秒

先天性横隔膜ヘルニアは、横隔膜に孔があり腸が胸の中に入ってしまう先天異常です。肺が圧迫されるので呼吸困難になります。治療は手術で孔を閉じることなんですが、実はそんな単純なことではありません。

肺が圧迫された状態で胎児期を過ごしますので、肺が育つことができません。すると肺高血圧という状態で生まれてきます。血液が胎児循環のまま、酸素化されない血液が全身を回りますので、全身チアノーゼになります。
胎児超音波によって病気を早期に見つければ、母体搬送で治療成績が向上すると考えられた時期がありました。ところが実際は逆でした。つまり死産になる運命だった子が治療を受けるようになったため、日本全体で治療成績が悪化したのです。

ところが最近、グループスタディーの努力によって、この病気に対して新しい呼吸器の使い方が開発されてきました。その結果、ECMOの適応も減っています。さらに治療成績が良くなることを願っています。

なぜ我々は生き残ったのか2022年02月17日 12時32分49秒

ある推計によれば、人類の誕生からこれまでに生まれた人間の数は、約5万年前に2人からスタートしたと仮定して、約1076億人なんだそうです。
現在、地球上には78億人が暮らしていますから、人類の歴史の中で、これまでにおよそ1000億人が死んだことになります。
その1000億人はどのように死んだのでしょうか?
生まれる数を死んだ数が上回ってしまえば、その種は絶滅します。恐竜のように。
どうして私たちは生き残ることができたのでしょうか?

一つの理由は食物連鎖の頂点に立ったからでしょう。
仮に恐竜が絶滅していなかったら、ヒトはすべて残らずエサになっていたかもしれません。

恐竜が絶滅した理由として、隕石の落下という説があります。
直径10キロ、重さ1兆トンの隕石が地球に衝突すると100万度以上の熱が放出されるそうです。
これによって気候変動が起き、恐竜は絶滅したとされています。

では人類にとって大きな災厄とはなんでしょうか?
東日本大震災では2万人近くの人命が失われました。
関東大震災では10万人が亡くなりました。
世界に目を向ければ、2010年のハイチの地震では20万人が死亡し、1970年のバングラデシュのサイクロンでは50万人が死んだそうです。

だけどもっと恐ろしいのは、政治的暴力(弾圧・粛正)や戦争です。
ポルポトは自国カンボジア全体を牢獄のようにしてしまい、200万人から300万人が亡くなったと言われています。
スターリンの粛正は1000万人以上。
毛沢東の大躍進政策では、5000万人の餓死者が出たという説があります。
20世紀は「戦争の世紀」で、総計で1億数千万人が死にました。ヒトラーは500万人のユダヤ人を含む1000万人以上を殺害しました。
人間にとって最も恐ろしい天敵は人間ということですね。

だけど、これでは1000億人には遠く及びません。
戦争は降伏によってやめることが可能だし、クーデターで政権が代わったり、軍事介入で圧政が停止したりすることもあります。
では歴史的に人類にとって最大の脅威は何だったのでしょうか?

それは疫病ではないでしょう。 
厚生労働省の「国民生活の動向」を読むと、戦前の日本では死因のトップは「胃腸炎」であり、「結核」です。
前者は、嘔吐下痢症で脱水から死に至るわけです。
後者の「結核」は、かつては死の病でした。
現代はがんが恐れられていますが、がんという病気はある意味、細胞の老化現象でしょう。
がんで死ぬということは寿命が尽きるということと同じことかもしれません。
歴史的に見れば感染症が人類の存在を脅かしてきたことは間違いありません。

14世紀のペストではヨーロッパの人口の8000万人のうち1/3〜1/2が亡くなり、そしてアジアまで広がった結果、7500万人から2億人が死んだとされています。
アステカ帝国は天然痘で滅びました。それだけでなく、16世紀に天然痘で亡くなった人は5000万人以上とされています。
100年前のスペイン風邪では世界で4000万人以上が死にました。
AIDSで亡くなった人は2000万人以上です。

そして現在、新型コロナウイルスによって世界で約580万人が亡くなっています(2022年2月16日 )

公衆衛生の向上・ジェンナーの種痘の普及・抗生剤の発見・PCRの発明・mRNAワクチンの開発が無ければ、人類は絶滅したかもしれません。
つまり、ヒトは病原微生物との闘いに、打ち克ち、あるいは「引き分け」て、今があるのではないでしょうか。 いや、敗れる可能性も考えておいた方がいいかもしれません。

(2013年に書いた記事をリライトしました)