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家族写真: 3.11原発事故と忘れられた津波(笠井 千晶)2020年06月22日 23時17分21秒

家族写真: 3.11原発事故と忘れられた津波
3・11の津波と原発事故をどう描くか。
これまでに多くのノンフィクション作家が挑んできました。
その中からいくつもの傑作も生まれましたし、まだ描き切れていない欠けたピースも残りました。
本作は、第26回小学館ノンフィクション大賞受賞作です。

福島では原発事故がクローズアップされてしまい、そこにも津波被害があったことが置き去りにされています。
本作は、「避難指示区域」にあたるために津波被害者の捜索が行われなかった地元で、自分の家族の捜索を自身の手で続ける父親を中心に据えて、映像作家が7年をかけて取材した現場を文章で描いています。
大変な労作です。

ただ、本書が描きたかったのは、3・11なのか? それとも家族なのか? 家族を通して3・11の姿をあぶり出したいのであれば、もう少し視点の広がりがあってもよかったかもしれません。
家族を描くのであれば、やや冗長であり、文章のフォーカスが甘いかもしれません。
小学館ノンフィクション賞は応募規定が300枚です。
本書を出版するにあたって、削った原稿を復活させたものと思われますが、ぼくはオリジナルの300枚を読んでみたかった。
その方が人間をシャープに描けたのではと思ってしまうからです。

映像作家さんには映像という表現手段があるわけですから、さらに文章を書くということにどういう意味を置いているのか、それはこの本によって何が描きたかったかということにも通じますので、表現することの意味の原点をもう一度再確認してもいいかもしれません、なんてことを考えました。

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