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もしも一年後、この世にいないとしたら。(清水研)2020年06月17日 09時09分04秒

もしも一年後、この世にいないとしたら。
昨年秋に出版されてずっとベストセラーを続けているようです。
筆者は精神科医。それもがん患者を診る精神腫瘍科医です。
がん=不治の病とは言えなくなったとはいえ、がんになれば患者は必ず死を意識します。
そうした患者に寄り添う仕事を筆者は選びました。
人の死生観は実に様々で、100人の患者には100通りの死生観があります。
また、その患者が背負ってきた人生には100の彩りがあるわけですから、患者に寄り添うというのは口で言うほど簡単ではないでしょう。
筆者は謙虚に患者の言葉に耳を傾けます。その優しさがこの本の基本旋律になっています。
誰もが避けられない死。死を考えた本はいくらでもありますが、名も無き小さな声を掬い上げるかのようなこの作品には、読者を惹き付ける風合いがあります。
良書でした。