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パルプ・ノンフィクション: 出版社つぶれるかもしれない日記(三島邦弘)2020年04月19日 23時34分21秒

パルプ・ノンフィクション: 出版社つぶれるかもしれない日記
ミシマ社という出版社を知っている人はあまりいないかもしれません。
しかし物書きから見ると大注目の出版社です。
1冊ずつ丁寧に本を作って、それをしっかりと売る。
だからベストセラー本を連発しています。
こういう会社から本を出すと、編集者はどんなふうに作家を手助けするのだろうかと、強い興味を惹かれます。

さてこの本は、ミシマ社から出たものではありません。社長の三島さんのエッセイです。
現在、出版業界が長期の不況にあることはみなさんご存じだと思います。
そうした荒波の中をミシマ社という小舟がどんなふうに漕いでいるのか綴ったエッセイです。

文章の巧みさに惹き付けられて、さささっと読ませる部分や、組織論を真剣に論じた部分などがあり、なかなか奥深い作品です。
そもそもエッセイというのは、最高のノンフィクションであるとぼくは思うのです。
だってほとんど書き手の感性だけで成り立つのがエッセイでしょ?
いや、ぼくも死ぬまでにエッセイを書いて大手の出版社から出してみたいな。
オススメです。

かんもくの声(入江紗代)2020年04月19日 23時47分46秒

かんもくの声
場面緘黙。
この漢字をみなさん、読めますか?
ぼくが初めて場面緘黙のお子さんに出会ったのは、今から14年前、クリニックを開業したその年でした。
ぼくは場面緘黙という単語だけしか知らなくて、保護者には何もアドバイスできませんでした。
保護者の方もちょっとがっかりしたような様子だったな。

この本は非常に内向的な作品で、自分の心の中をどんどん分け入っていきます。そうすることで、読者に「かんもくの声」が伝わっていくのです。
あまり類書はないのではないでしょうか。
こうした世界もぜひ知って欲しいなと思いました。