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東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか(中村 淳彦)2019年09月15日 17時43分36秒

東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか
大変興味深く、ぐいぐい引き込まれて読みました。
もちろん、こうした貧困女子ばかりでないことは自明で、ある意味で、特殊な例を取り上げたのでしょう。
しかしながら、そこには一般性というか普遍性があります。

まず一つは奨学金の問題です。
ぼくも大学院に進学したとき、収入がアルバイト(週に1回、某病院の小児外科で手術の手伝い)だけでした。
月収は68000円。アパートの家賃が42000円でしたから、生活はめちゃくちゃ苦しかったです。
2年間の研修医生活で貯金した100万円を取り崩し、なんとか生活しましたが、やがて破産。
そこで、日本育英会からお金を借りました。本当に助かりました。
ところがこの奨学金が現在は利子付きのものに変わっているのです。つまり学生ローンです。
大学生活の4年間で800万円くらい借りると、社会人になった時点で、1000万円くらいの借金を背負っていることになるのです。

れいわ新撰組の山本太郎さんは、消費税を廃止して、法人税を強化する案をだしています。すると消費税をゼロにしてもおつりが来る。そのおつりで、すべての大学生の奨学金をチャラにしようというのが、山本さんの提案です。

それから日本は小泉さんの新自由主義によって、「民間でできることは民間で」などと言って、安定した雇用が破壊されてしまいました。
民間は儲けを出すことをひたすら考えますから、介護の世界ではブラック企業が横行し、低賃金で過労死寸前までこき使われるという訳です。
今は、トヨタの社長までが「終身雇用の時代は終わった」などと言っています。それってまともな退職金が出ないという意味ですよね?
私たちの老後はどうなるんでしょうか? 2000万円の貯金すら作れないのではないでしょうか?

そして、こう書くと偏見とか、男尊女卑とか言われそうですが、女性の幸福はかなりの部分、男性の人格と甲斐性に依るところが大きいなと思います。
DVを振るう男は人間のクズです。離婚して、養育費を払わない男もクズです。女性は結婚・出産でキャリアが切れることがままありますから、離婚して人生をリスタートしても、正規雇用に入っていくのは困難です。
非正規から正規へ這い上がるのは本当に大変なことです。

ぼくの友人は子どもを二人持っており、小学生の姉と弟です。
その友人は、お姉ちゃんを医者にしたいそうです。女は手に職を付けることが何より重要という考えです。で、弟は、肉体労働でも何でも取り敢えず生きていけるので、男の子の育児には心配がないそうです。
なるほど、一理ありますね。

この本には、取り上げた例が極端だとか、フィクションが混ざっているのでは? という批判があるようです。
そうでしょうか? ぼくは、大事なことがたくさん含まれていると感じました。はたちを超えた長女に読ませたいくらいです。

日本の今の形の、少なくても一断面はとらえています。
オススメします。

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