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真面目にマリファナの話をしよう(佐久間 裕美子)2019年09月01日 22時26分25秒

真面目にマリファナの話をしよう
比較的薄い本ですが、中味はぎっしり詰まっていました。
マリファナがタバコよりも害がないという話はよく聞きます。
では、なぜ、違法なのでしょうか?
この本は、マリファナが現在のアメリカでどう扱われているかをルポとして報告し、また、マリファナの取り締まりと合法化運動の歴史を解説していきます。
また今後、マリファナが私たちの「健康」にどう関わっていくかも説明しています。
知らないことが多数書かれており、とても勉強になりました。
あと20年くらいしたら、日本の状況も変わっているかもしれません。

緩和ケア医が、がんになって(大橋 洋平)2019年09月04日 23時04分50秒

緩和ケア医が、がんになって
胃がん(GIST)に罹った緩和ケア医の闘病記です。
術後、腫瘍は肝臓に転移し、筆者は肝切除を拒否しますので、治療は抗がん剤ということになります。
予後は大変厳しいと考えられますから、読んでいるこちらが切なくなってしまいます。
ぼくは仕事柄というか、闘病記をよく読みます。
いろいろなスタイルの闘病記がありますが、すべてに共通していることは、作者が自分の内面と向き合うということです。
命を懸けた真摯な姿勢で向き合いますから、闘病記の書き手にプロもアマもありません。
この本も緩和ケア医が、転移性のがんになって色々と考えたことが綴られています。
GISTは10万人に1人の病気ですが、ここに書かれていることには普遍性があります。

ここで何度も書いていますが、ぼくは17年前に解離性脳動脈瘤に倒れました。今日も、千葉大病院の脳外科に定期受診に行って来ました。
17年前に死を意識し、それ以来、ぼくの生き方は大きく変化しました。仕事が変わったことはもちろんですが、自分なりに死への準備をしていると感じています。
長生きしたいとか、お金持ちになりたいとか、そういうことは全然思いませんが、残される家族のことは常に考えます。
ぼくがいなくても、妻と娘たちが幸せに生きていけるような環境を作るために、自分は生きているのかなと思ったりします。

大橋 洋平先生、お体お大事に。幸せな人生を生き抜いてください。

いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき2019年09月05日 11時35分54秒

読売新聞オンラインに執筆し、大きな反響を頂いた「いのちは輝く」が書籍化されました。
タイトルは、「いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき」と言います。
連載中は1億900万PVを頂きました。
書籍化にあたり、大幅に加筆をおこない、再構成しました。

Amazonでは10月8日発売ですが、すでに予約が始まっています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4120052370/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_prhCDbEB983AK

帯には椎名林檎さんから推薦文を頂きました。
命の尊さ、そしてそれを守る難しさを書きました。ぜひ、手に取ってみてください。

カバーができました!2019年09月12日 19時49分30秒

いのちは輝く
10月8日発売、『いのちは輝く』。
書影が完成しました。
ぼくの名前より、椎名林檎さんの名前の方が大きいのがイイですね!
どうぞよろしくお願いします。
(クリックで拡大します)

朝日新聞WebRonza(論座)に書きました2019年09月15日 16時19分03秒

根こそぎ倒れた大木
朝日新聞WebRonza(論座)に、台風15号と停電のことについて書きました。
災害は弱者に襲いかかります。政治とメディアの初動は十分だったのでしょうか? 私見を述べてみました。

https://webronza.asahi.com/national/articles/2019091500001.html

そんなに長くない文章ですので、時間のある方は読んでみてください。

東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか(中村 淳彦)2019年09月15日 17時43分36秒

東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか
大変興味深く、ぐいぐい引き込まれて読みました。
もちろん、こうした貧困女子ばかりでないことは自明で、ある意味で、特殊な例を取り上げたのでしょう。
しかしながら、そこには一般性というか普遍性があります。

まず一つは奨学金の問題です。
ぼくも大学院に進学したとき、収入がアルバイト(週に1回、某病院の小児外科で手術の手伝い)だけでした。
月収は68000円。アパートの家賃が42000円でしたから、生活はめちゃくちゃ苦しかったです。
2年間の研修医生活で貯金した100万円を取り崩し、なんとか生活しましたが、やがて破産。
そこで、日本育英会からお金を借りました。本当に助かりました。
ところがこの奨学金が現在は利子付きのものに変わっているのです。つまり学生ローンです。
大学生活の4年間で800万円くらい借りると、社会人になった時点で、1000万円くらいの借金を背負っていることになるのです。

れいわ新撰組の山本太郎さんは、消費税を廃止して、法人税を強化する案をだしています。すると消費税をゼロにしてもおつりが来る。そのおつりで、すべての大学生の奨学金をチャラにしようというのが、山本さんの提案です。

それから日本は小泉さんの新自由主義によって、「民間でできることは民間で」などと言って、安定した雇用が破壊されてしまいました。
民間は儲けを出すことをひたすら考えますから、介護の世界ではブラック企業が横行し、低賃金で過労死寸前までこき使われるという訳です。
今は、トヨタの社長までが「終身雇用の時代は終わった」などと言っています。それってまともな退職金が出ないという意味ですよね?
私たちの老後はどうなるんでしょうか? 2000万円の貯金すら作れないのではないでしょうか?

そして、こう書くと偏見とか、男尊女卑とか言われそうですが、女性の幸福はかなりの部分、男性の人格と甲斐性に依るところが大きいなと思います。
DVを振るう男は人間のクズです。離婚して、養育費を払わない男もクズです。女性は結婚・出産でキャリアが切れることがままありますから、離婚して人生をリスタートしても、正規雇用に入っていくのは困難です。
非正規から正規へ這い上がるのは本当に大変なことです。

ぼくの友人は子どもを二人持っており、小学生の姉と弟です。
その友人は、お姉ちゃんを医者にしたいそうです。女は手に職を付けることが何より重要という考えです。で、弟は、肉体労働でも何でも取り敢えず生きていけるので、男の子の育児には心配がないそうです。
なるほど、一理ありますね。

この本には、取り上げた例が極端だとか、フィクションが混ざっているのでは? という批判があるようです。
そうでしょうか? ぼくは、大事なことがたくさん含まれていると感じました。はたちを超えた長女に読ませたいくらいです。

日本の今の形の、少なくても一断面はとらえています。
オススメします。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書) 大木 毅2019年09月22日 22時15分18秒

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
独ソ戦とは実に凄まじいものでした。
相手の絶滅を目指して闘う戦争ですから、国際法も何もあったものではありません。
捕虜も殺されるし、市民だってどれだけ死んだか、数え切れないほどです。
日本は戦争に敗れましたが、戦場になったのは沖縄だけです。
しかし独ソ戦は、ドイツからソ連までの広大な大陸で、殺し合いの市街戦がおこなわれたのです。
その悲惨さは、言ってみれば沖縄の戦闘が日本全土で繰り広げられたのと同じことです。
ソ連にしてみれば、血みどろになって勝ち取った領土ですから死んでも手放したくないと思うでしょう。
北方領土もその文脈上にあるのではないでしょうか?
経済交流を深めていって、領土が返ってくるなんて、今の政権は本気で考えているのでしょうか。
それくらいしか、交渉の手段がないのかもしれませんね。

本書は、専門書と一般書の間を埋めるような好著です。
さすが岩波書店ですね。
最近、講談社現代新書がアカデミックなものを作りませんので、新書らしい新書は、岩波と中央公論の二強という感じですね。
現在ベストセラーです。
筆者はぼくと同じ年齢なんですが、ぼくの読めないような漢字を使うなど、学者らしい学者さんでした。
オススメです。戦争の悲惨さ、むごたらしさがよく理解できます。

ジャイアントキリング(大番狂わせ)2019年09月28日 21時09分12秒

日本、勝つ
まさか勝つとは夢にも思っていませんでした。
アイルランドの強さは、先週の対スコットランド戦で証明済みです。
強いスクラムに強いモール。フィジカルの強さはスコットランドを圧倒していました。
日本はそのスコットランドより格下ですから、世界ランキング2位のアイルランドに叶うはずがありません。
せめて接戦に持ち込んでくれればいいかなと思っていました。

前半はいきなりアイルランドの猛攻で始まりましたが、前半の最後の方から風向きが変わります。
アイルランドはスクラムでも優位に立てないし、モールも押せないのです。
そして日本の執拗なタックル。
試合前は「緑の壁」かと思いましたが、試合の流れは「勇敢なる桜の壁」に変わっていきます。
点差を離されることなく、前半を終了。流れは日本にありました。

後半になると日本のタックルはますます激しさを増していきます。
アイルランドの選手たちはボールを保持しても攻め手がない。
取り敢えず、日本の選手に当たってラックを作るのですが、全然前に進むことができません。
スピードもないし、圧力もありません。
もう明らかに足に来ており、スタミナが枯渇していました。

一方、日本のフィットネスには素晴らしいものがありました。
後半戦の勢いを付けたのは、リーチのタックルです。相手の足首にバキバキとタックルに入っていました。
姫野のゲインもすごかったし、総じてフォワードのフィジカルの強さはアイルランドを圧倒していました。

しかし、こんな日が来るなんて。
かつて日本はW杯でニュージーランドに145点を取られたことがあります。
ラグビー人気も下がりました。
ですが、日本協会は地道に改革を続け(不十分な点もありますが)、日本を強化してきました。
日本のチームの半分が外国出身で、そのことをつまらないと言う人もいます。
しかしそんなことを言う人種は世界で日本だけです。どの国も国籍に関係なくベストメンバーを組んでいます。
ラグビーは国籍主義ではなく、その土地主義なのです。
(念のために言っておきますが、1つの国の代表選手になると、ほかの国で代表選手になることはできません)

リーチのキャプテンシーはまさに侍の精神です。
トンプソン・ルークの献身的な働きは、浪速のど根性といった感じです。
具智元も今日も日本のために体を張ってくれました。日韓の政治対立なんてここでは関係ないですね。

かつての日本代表は選手が固定化されていて競争がなかったように感じます。選手層が薄かったとも言えます。
今は、試合に出たくてしょうがない選手がたくさんいます。
今日の山中とか福岡がそうでしょう。姫野だって必死だと思いますし、リーチだって不調であればスタメンから落ちる訳です。
そして一人ひとりの選手が無尽蔵のスタミナ保持しており、勇敢なタックルを次から次へぶちかましていくのです。
アイルランドの選手たちは、恐怖さえ感じたのではないでしょうか?

予選プールはあと2試合。サモア戦とスコットランド戦です。
過信すれば、たちまち負けるでしょう。今度も勇敢なラグビーを期待しています。