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赤ちゃんはことばをどう学ぶのか (中公新書ラクレ) 針生 悦子2019年08月13日 20時51分15秒

赤ちゃんはことばをどう学ぶのか (中公新書ラクレ)
赤ちゃんがことばを覚えるのは当たり前のような気がしますが、そのメカニズムを科学的に解析してみると、赤ちゃんは大変な努力をしていることが分かります。
したがって2つのことばを覚えるのは至難の業です。
世間では、海外勤務(留学)で子どもを海外へ連れて行くと、たちまち現地語を覚えてしまうと言われています。
しかし、この本では、そんなに簡単ではないと書かれています。

ぼくの友人には何人かバイリンガルの人がいますが、それはその人たちの元々の才能なのかもしれません。
海外勤務(留学)すれば誰でもバイリンガルになれると思うのは、ちょっと誤解があるかもしれませんね。
ある友人は幼稚園の頃から、10歳までアメリカにいました。帰国子女ですから、英語が上手なわけです。
だけどよく考えてみてください。
10歳の日本人って、政治とか経済とか文化とか芸術について語れますか? 無理ですよね。
その人も、英語は10歳のレベルだったのです。そして30歳を過ぎてまた2年ほど留学し、今度は本当のバイリンガルになりました。
だから、海外勤務(留学)で2年くらい英語を学んでも、それなりの英語だと思います。同時に日本語はあまり伸びていないと思います。
くり返しになりますが、真のバイリンガルになるためには、相当の努力と才能が必要なのではないでしょうか?

留学しなくても英語を普通に喋れる人もまた知っています。
筑波大学の小児外科の教授だった金子先生は留学経験がありません。しかし日本を代表するオンコロジストとして、国際会議で発表・討議を行っていました。
ぼくの恩人である分子ウイルス学教室の白澤先生も留学経験がありません。しかし英会話には全然苦労していません。
ただ、自学自習で英会話をマスターするまでは大変だったと言っていました。

小さいうちから英語漬け(特に海外勤務・留学)になっていれば、自然と英語が話せるようになるというのは幻だと、この本は説いているのでしょう。
文科省は焦って英語教育に力を入れる方向ですが、それが一体何を生み出すでしょうか。
そういう時間があったら、日本文学を読んだ方がいいとぼくは思います。
それから、日本語の文章を書く力ですね。ぼくは中学3年生のときに、夏休みの宿題で作文(正確には文集)を作れと言われ、400字原稿用紙で330枚書きました。
日本人なんだから、こういう能力の方が、外国人にちょっと道案内する英会話の力より貴重だと思います。

三船敏郎の映画史(小林 淳)2019年08月13日 23時29分08秒

三船敏郎の映画史(小林 淳)
三船敏郎の全記録です。
こういう本を作ってくれるのは本当にありがたいです。
永久保存版という感じでしょう。

世界のクロサワとよく言われますが、三船さんも世界のミフネでした。
三船さんという俳優がいなかったら、黒澤映画はここまで評価されなかったはずです。
そしてもちろん、三船さんも黒澤明に出会わなかったら、世界のミフネになることはできなかったでしょう。
つまり二人の天才が同時代に映画の世界に現れて出会ったのです。

黒澤映画と言えば、「羅生門」「七人の侍」がすぐに思い浮かびます。
では、三船さんにとってのベストの映画はどれでしょうか?
「用心棒」「天国と地獄」、このあたりかな。
「赤ひげ」もいいのですが、三船さんの魅力は完全には出ていない気がします。

黒澤さん、三船さん、双方から見て最高傑作は何か?
ぼくの意見は「天国と地獄」です。
みなさんは、どんな意見ですか?