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書評稼業四十年(北上 次郎)2019年08月07日 23時29分42秒

書評稼業四十年(北上 次郎)
これは面白い本でした。本好きにはたまらないでしょう。
椎名誠さんと一緒に「本の雑誌」を創刊した北上次郎さんのエッセイです。
書評のことも書かれていますが、本に関するありとあらゆることが半生記として書かれています。
本の魅力は、内容だけでなく、装丁とか帯の惹句とか造本とか、すべてを含んでいるという意見に大賛成です。
ぼくは高校生の頃、東京に住んでいましたが、日曜日になるとお茶の水へ行き、半日をかけて本屋を回りました。
そして10冊近くの本を買っていましたね。あの、本屋さんの空気感。紙やインクの匂い。静かな雰囲気。辺り一面に広がる本。
本屋さんはぼくの青春そのものです。

さて、書評をどう書くか?
昔、本多勝一さんのエッセイに、二つの方法があると書かれていました。
一つは、本の良い部分を見つけてそのことを書く。
もう一つは、良い本は良いと言うが、悪い本は悪いとはっきり書く。
本多さんは二番目の方法を実践しているそうです。

ぼくは年間100冊くらいの本を読み、大部分の本に関してはブログに書評を書きます。
ええ、本の良い部分を見つけたい派なんですね。だから余りにも良くない本は、書評を書きません。
で、基本的に本の良い面を見つけて書くのですが、10冊に1冊くらいは、ついつい「偉そうに」こうした方がいいと書いてしまいます。
まあ、ぼくも還暦が近いし、人生も深く生きてきたし、20歳以上若いライターにアドバイスしても許される年齢かなと思う訳です。

何度も書いていることですが、ノンフィクション・ライターの人は、純文学を書く人に比べて明らかに「書く」ということに甘いと思います。もっともっと言葉を磨いて、文章をシャープに研ぎ澄まして欲しいといつも思っています。
大宅賞を含めて、ノンフィクションにはいくつもの文学賞がありますが、候補に選ばれる作品の中には、正直文章がうまくない作品も含まれています。
どうしてこういう作品が候補になるのだろうと、非常にがっかりすることがあります。
ノンフィクション、冬の時代と言いますが、書き手に取材費が回っていかない現状もあると思いますが、ライターの書く力の不足もあるような気がします。
書く力をつけるには、読むことが一番です。どれだけたくさん本を読んだかで、書く力は決まってくると思います。

北上さんの本に話を戻すと、「本の雑誌」ができて40年だそうです。それはすごい。
ぼくは医者として32年目ですから、まだまだ若輩者といった感じですね。
オススメの1冊です。ぜひ、読んでみてください。

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