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暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史(牧 久)2019年07月10日 21時41分44秒

暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史
前著「昭和解体」があまりにも面白かったので、本書も読んでみました。
前半は「鬼の動労」がコペルニクス的転回をして、国鉄分割民営化に協力するあたり、松崎明の戦略性はとても迫力がありました。
そして後半は、スターリン批判をしてきた松崎さんが自分もスターリンのような存在になり、ある意味で自滅していきます。
結局長い目で見れば、動労はJR東日本に敗れ、政治権力に敗れた訳です。
それはある意味で当たり前であり、労働者が資本家を倒すなどということは、内戦でも起きない限り、つまり暴力を使わない限り、あり得ない話です。
そうなると、この本は何を描きたかったのかと非常に強い疑問が湧いてきます。
特に終盤になり、革マル派と民主党の関係をしつこく筆者は描いていますが、あの記述にはいったいのどういう意図があるのでしょうか?
「昭和解体」には、時代性・歴史性があり、なぜ、ノンフィクションの文学賞を受賞できなかったのか、今でもぼくは納得できないのですが、本書にはそういう歴史観がまったく欠如しており、人生をかけた闘争に敗れたサヨクの一生を描いてそれで終わりというのは、あまりにも本の主旨がつまらないと思います。
ぼくの最大の読後感は、こんな感じです。
「ああ、この作家はサヨクが大嫌いなんだな」

500ページに近い大著ですが、なぜ日本の、いや世界の歴史に左翼運動が必要だったのかという大局観がなかったように感じました。
また民主党を批判する作家は大変多いのですが、なぜ、民主党政権が誕生したのか? 安倍・福田・麻生は1年しか政権が続かなかったのか、そこの分析が抜け落ちています。そういう風に歴史観が脆弱な作家が多いのは、たぶん、世間に媚びているからでしょう。

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