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がん免疫療法とは何か(本庶 佑)2019年04月27日 19時46分29秒

がん免疫療法とは何か
2冊の本が元になってこの本が出来上がっていますので、ある意味では論文集の形をとっています。
したがってタイトル通りの内容を期待すると、ちょっと裏切られるかもしれません。
PD-1 に関する説明は、サイエンスに関して知識がある人が読めば理解できるでしょう。しかし一般の人には難しいと思います。
「精神と物質」(立花隆・利根川進)のように誰かライターさんがインタビューする形をとった方が絶対によかったと思います。

もう一つの柱である「いのち」を巡る論考にはうなずける部分が多々あり、さすがノーベル賞受賞サイエンティストだと思いました。
先生は大所高所からサイエンスを見ていますから、物理学と生命科学(生物学)の今の状況の違いとか、今後の生命科学の進むべき方向とか、科学研究にかける国の予算の付け方とか、納得できる主張がたくさんありました。
また、科学ジャーナリストに対する、あるいはそのレベルに達していないメディアに対する批判も実に的を射ていると感じました。
STAP細胞捏造事件も、HPVワクチンの事実上中止もメディアの責任が大きいと先生は厳しく論じています。

先生は忙しくて本を書いている時間なんてないと思いますが、過去の文章の論文集ではなく、書き下ろしで一つの世界観を語ってくれたら、もっと素晴らしい作品がレガシーとして残るのに・・・と強く思いました。