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吃音: 伝えられないもどかしさ(近藤 雄生)2019年03月23日 13時09分49秒

吃音: 伝えられないもどかしさ
これはなかなか出会わない傑作でした。
吃音の苦しみを描いたノンフィクションです。
本書によれば、日本には100万人の吃音者がいるそうです。
この数字にはちょっと驚きますね。
中学時代の同級生に吃音の子がいましたが、ぼくの長い人生で吃音の人に会ったのは、その友人だけです。
100万人と言えば、100人に一人ですから、そんなに多いのかな?という印象です。

吃音の辛さが本書では細かく描かれています。
不登校になった子、就職できなかった人、仕事を失った人、うつ病になった人、自殺してしまった人。
この辛さは本書を読むまでまったく知りませんでした。
そして吃音という「障害」についての科学的な解説もたくさん述べられています。
知らないことが山ほどありました。
非常に勉強になり、また、「障害」のある少数派の苦しみを深く理解することができました。

筆者も吃音を持っていました。ところがある日、それが消えてしまうんですね。この不思議さは何でしょう?
われわれには、分からない脳の謎がまだまだあるということですね。
なお、著者の文章は大変しっかりとしており、読み手を惹き付けます。筆の運びに乱れが無く、几帳面で土台のしっかりした文章です。
相当、実力のある書き手だと感じました。

こういう本はぜひ多くの人に読まれて欲しいです。
一級品のルポルタージュですので、ぜひ、オススメします。