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消された信仰: 「最後のかくれキリシタン」--長崎・生月島の人々(広野 真嗣)2018年09月07日 20時51分29秒

消された信仰: 「最後のかくれキリシタン」--長崎・生月島の人々
昨年の小学館ノンフィクション大賞受賞作です。
よく取材しているし、資料もよく読み込んでいると思います。
ノンフィクションとして一定の水準をしっかりとクリアした良作ですね。
この本の最大の読ませどころは、「論の立て方」にあります。
国が世界遺産に長崎県の「隠れキリシタンの文化」を申請しようとした時、途中で、生月島の存在が消えてしまいます。
この島では正統なカトリックとは異なる土着の民俗宗教が江戸時から存在しています。
禁教が解かれた今も、信仰は続いています。「隠れキリシタン」ならぬ「カクレキリシタン」ですね。もちろん「カクレ」というカタカナには、揶揄の意味合いがあります。

なぜ、生月島は「消されたのか?」
このテーマを面白いと感じるか、そう思わないかで本作の評価は決まってくると思います。
その辺は読者によっていろいろな感想があるでしょう。

しかし、3人の審査員が全員激賞しているというのは何とも羨ましい。
ぼくの「運命の子 トリソミー」なんか、けっこう審査員からけなされたものです。
あれでよく大賞を取れたものです。
ま、運が良かったのでしょう。
森健さんの「祈りと経営」にかち合っていたら、絶対に賞は取れなかったと思います。
運が強いところが、ぼくの強みですね。これだけは誰も真似できまい。

新著『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』2018年09月07日 21時22分12秒

発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年
新著のご案内です。
『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)という本を書きました。
知的遅れのある自閉症児の17年の成長を母親から聞き取ったものです。
お母さまの名前は立石美津子さん。幼児教育や子育てに関して著作活動や講演活動をしている女性です。
自閉症という言葉を知らない人はいないと思いますが、自閉症児の日々がどういうものか案外知られていないのではないでしょうか?
この本では、「自閉症の世界」を描き、我が子の障害を受け容れていく母の心理を描写しました。
立石さん親子の17年は大変ドラマに富んでおり、一気に読める作品に仕上がっていると自分では思っています。
Amazonでは本日から購入可能になっています。

http://amzn.asia/d/15HVTPb

また店頭には9月10日(月)頃から並ぶと思います。

知的遅れのある自閉症児を描くことは長年の僕の目標でした。ヨミドクターの「いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち」の連載をきっかけに立石さん親子に出会うことができ、じっくりとお話を伺うことができたことを、本当に幸運だと思っています。

自閉症に関心のある方もそうでない方も、ぜひ、本書を手に取ってみてください。
健常な子どもを育てていても、家族が生きていくという中には、さまざまな不条理な苦しみがあります。「普通である」ことを世間から強要され、また自らもそれを望むのが私たちの姿です。しかし、その「普通」という縛りを超えたところに、本当の家族の幸福があるかもしれません。

本書を応援して頂ければとても嬉しいです!